INOCAの病態・分類

月刊保団連 2024年12月号より

INOCA(Ischemic Non obstructive Coronary Artery disesase)とは、虚血性非閉塞性冠動脈疾患の略で、狭心症を示唆する症状、徴候、検査所見を有するが、目視できる冠動脈に器質的有意狭窄を認めない慢性の症候群を意味します。

(MINOCAは、st上昇型梗塞のうち有意狭窄病変のないものに使われる言葉)

INOCAには、①冠攣縮性狭心症や、②微小循環障害が含まれ、冠攣縮に関しては薬物(アセチルコリン・エルゴノビン)誘発に関する反応性を見て診断します。微小血管の攣縮に関してもアセチルコリン負荷試験で確定となります。微小血管の拡張性については、冠血流予備能(CRF)低下をもって判断し2未満とされています。

微小血管の最大拡張時の血流抵抗を見るには微小血管抵抗指数を用い25以上が有意とされます。INOCAの約49%が冠攣縮であり、微小循環障害は48%、両者合併が23%とされます。

INOCAの患者は、ふだんから胸部圧迫感や息切れなどの症状になやまされているにもかかわらず、検査をしても冠動脈に狭窄が見つからないため、正常と診断されてしまうことがあります。

微小血管狭心症:もともと心臓には目に見える心外膜血管の他に、微小冠動脈が多数存在することが知られています。この目には見えない血管の血流障害によって狭心症を来す病気です。

微小循環障害は中年女性に多い

微小循環障害は、中年女性に多いとされ、INOCAは、40-50歳の閉経期前後の女性に多いと言われています。比較的に治療抵抗性であることも特徴の一つです。今まであまり重視されてこなかった冠微小循環ですが、こうしたことで脚光を浴びつつあります。冠微小循環が、心筋全体の血流の95%を占めるといわれ、その攣縮・拡張障害・内皮や筋障害(リモデリング)などが発症に深くかかわっています。微小循環障害による狭心症は、微小血管狭心症とよばれ、臨床面でも大きな割合を占めつつあります。

微小循環狭心症の診断には、専用ガイドワイヤーとソフトを用いて微小血管の血流や抵抗値を測定します。微小循環障害は、予備能低下CFR2未満、血管抵抗増大IMR25以上などを示します。

コメント治療にはカルシウム拮抗薬やベータブロッカーや硝酸薬が用いられるという。微小循環障害にはベータブロッカーがファーストチョイスらしい。混合型にはジルチアゼム(カルシウム拮抗薬)が第一選択。

栄養医学的には、糖質制限、マグネシウムが第一選択でしょうか。