熱と皮疹をみとめる場合

日本医師会雑誌 2023年7月号より引用

Dr忽那 発熱がある場合、感染症であればフォーカスがあることが多いと思います。フォーカスというのは、たとえば喉が痛いとか咳が出るとか言った症状ですが、蚊媒介感染症やダニ媒介感染症では、そのうような症状がないというのが1つの特徴です。

つまり、フォーカスがはっきりしないけれども発熱しているとか、フォーカスがないけれども熱と皮疹があるといった状態ですね。 こういった場合は、いろいろ疑う中で感染心内膜炎や胆管炎、ほかにも鑑別疾患はあるのですが、その中に今回のような節足動物媒介感染症が鑑別疾患として挙がってきます。

そこで、たとえば渡航歴があるとか、あるいは先ほど岩崎先生がおっしゃったセフェム系抗生剤が効かないとか、そのへんは結構疑わしい所見だと思います。

デング熱では抗菌薬は反応しませんし、リケッチアもセフェム系抗菌薬が反応しないなどの特徴があります。つまり、フォーカスがない、皮疹がある、渡航歴がある、キャンプなどの野外活動歴があるといったキーワードから疑っていくことになると思います。