HER2陽性胃癌(約20%)にはトラスツズマブを用いる

ドクターサロン 2024年9月号より引用

胃腫瘍に対する薬物療法 朴 成和 先生

・緩和的化学療法においても5-FUからS-1と発展してきて、S-1+オキサリプラチンが使われるようになりました。さらにHER2陽性胃癌(約20%)の患者さんにはトラスツズマブという分子標的治療薬を使うことになります。それから、免疫チェックポイント阻害薬です。最近、ニホルマブという薬が出てきて、緩和的化学療法では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を使う点において、手術後の補助化学療法より一歩先んじているとご理解いただければと思います。

・いま緩和的化学療法においてはS-1やカベタビンなどのフッ化ピリミジンとオキサリプラチン、プラチナ系薬剤の2剤併用に、さらにHER2陽性の場合はトラスツマブ、そうでなければニボルマブを使うのが、標準治療です。

・先生がおっしゃったニボルマブは確か本庶佑先生の研究から出た薬で、脚光を浴びていますね。抗がん剤が効かないタイプのものでも使うことで、最初は3次治療でつかっていましたが、今はもう1次治療ですか?

1次治療です。

コメント:チェックポイント阻害薬には間質性肺炎などの自己免疫疾患を起こす可能性があるとのこと。

胃癌の治療を全く希望しない、という方もおられます。しかし、分子標的治療薬やチェックポイント阻害薬は、よい選択枝のひとつになるのではないでしょうか。単剤での効果がどの程度かは知りませんが。