家族性高コレステロール血症の診断

ドクターサロン 2024年9月号より 小倉 正恒先生 (順天堂大学)

・LDLコレステロール値でひっかけ、アキレス腱で診断、微妙なときに助けになるのが家族歴というイメージです。

・2022年4月に5000点で遺伝学的検査が保険適応になりました。・・・遺伝学的検査で陰性だったからといって、絶対にFHではないといいにくいのが頭の痛いところです。

・PCSK9の阻害薬について・・・はい。ほとんどワクチンのような状況で、年に2-3回打つと1年中ずっと40-50%程度下がっている。すごい時代になってきたと思います。

・実は我々の研究ですが、アキレス腱の厚さを超音波で測定して、FH診断のカットオフ値を求めました。その結果、男性6.0mm、女性5.5mm以上という基準も今回から採用されました。

(以前は男女とも9mm以上)

 

コメント:栄養療法を行っていると、スタチンなどの薬物療法に懐疑的にならざるをえないので、家族性高コレステロール血症の扱いに悩むことがあります。

・LDLコレステロール200㎎以上になることは、糖質制限中の患者さんでは珍しくない。しかし、中性脂肪はとても低く、HDLは高い。

・ある程度の年齢で、眼瞼黄色腫があり、冠動脈疾患の既往も家族歴もない方が少なからずおられる。

・アキレス腱が1㎝程度ある人は、とても少ないと思う。このこともあり、ガイドラインが変更になったのだろう。 結果的に、家族性高コレステロールの患者が激増するだろう。海外のガイドラインも、日本の影響を受けて変更になったらしい。下論文。

Guidelines for the Diagnosis and Treatment of Adult Familial Hypercholesterolemia 2022 – PMC

私としては、糖質制限とナイアシンを推したい。ちなみに眼瞼黄色腫は、ホッファーが書いているように、ナイアシンで退縮するようだ。(そのうち患者さんの写真をブログに載せたい)

「人間の本来もっているメカニズムを阻害する薬剤を、人口の0.33%(1000人に3.3人)に内服させる必要がある」という考えは不自然だと思う。