The shadow truth of statins(スタチンの真実)
オーストラリアのポール・メイソン医師の講演
興味深い講演。メイソン医師は糖質制限派のようで、たどりつく結論は同じのようです。
①最初のコレステロール低下薬(tropetanol:スタチンではない)は1958年に導入された。
白内障、脱毛、深刻な皮膚炎、動脈硬化などの副作用で使用禁止となった。メルク社が基礎データを隠ぺいしていたことが明らかになり、裁判で有罪となった。
②1973年遠藤章は三共在籍時に真菌由来のマイコトキシンを発見した。マイコトキシンはコレステロール低下作用が認められた。1980年実験犬が癌で死亡したことで、三共は製薬を断念した。三共に追随していたメルク社は1987年にFDAの承認を得た。この薬物は最初に100万ドルを稼いだ薬物となった。
1997年にバイエル社が新しいスタチン「バイコール」を発売した。副作用死が多かったため2001年回収された。この訴訟でバイエル社は40ミリオンドルを支払うことになった(2022年11月)。解決までに20年ほどかかったことになる。
③スタチンは認知機能を低下させるという報告。18名と少数のパイロット研究(6週間のスタチン中止でMMSEが改善。再開で悪化。)
スタチンにより、代謝が変化する。MRIの検査より。認知症の発症が倍以上になるかもしれない。
スタチンにより、糖尿病が増加する。71%の増加。
FDAの有害報告の分析より ALSの増加 107倍 ・・・アトルバスタチン シンバスタチンはモーターニューロンディジーズを57倍増加させる。
④スタチンの有効性について。 まず、スタチンが寿命を延ばすかどうかで効果を評価するべきである(ハードエンドポイント)。 ソフトエンドポイントで有効性を評価することは間違っている。
一次予防について・・・8つの研究の7つで、寿命を延ばす効果がないことがわかっている。たった一つ、寿命を延ばすとしているのは、有名なJUPITER 試験である。
多くの循環器内科医が患者を説得するためにこの論文を用いている。JUPITER試験で、スタチンの効果は誇張して表現されている。試験の問題点は、①LDLが高い参加者を除外②CRP高値の参加者を二次予防へと移行させた。(CRP高値は心筋梗塞を起こしやすい)③最初の設定に達していないのに早期に中断された。
二次予防について・・・10年間で4日あまり寿命を延ばす効果がある。 ここで重要なのは、中性脂肪/HDL の比である。 この係数が低ければ(2以下)スタチンは不要と考えられる。
HDLが53mg以上、中性脂肪70㎎以下は良い。 中性脂肪/HDL は低糖質食で改善する。
⑤LDLのターゲットはずっと下がり続けている。(ムービングターゲット)この販売戦略は大変有効である。スタチン処方が増加する。
⑥2004年遠藤章は、医師にスタチン内服を勧められたが断った。 インタビューされたときに、日本の「藍染め職人は白いズボンをはいている」ということわざを挙げた。
つまり、スタチンの毒性を知っているから服用しなかったのだろう。