マグネシウムについて
Orthomolecular Medicne for Everyoneより
マグネシウム
体内にはおよそ20-30グラムのマグネシウムがあり、その半分は骨にある。
マグネシウムはこれほど体内に豊富にある陽イオンであるが(マグネシウムより多いイオンは3つのみ)、多くの臨床家に無視され続けてきた。 骨以外のマグネシウムの多くは、間質に存在する。血漿マグネシウムの3分の1は蛋白質と結合している。血清マグネシウムレベルは1-3mg/100ml。
硬水を飲んでいる人々は、適切な量のマグネシウム(およびカルシウム)を水から摂取できる。(生産者は土壌にマグネシウムを加える努力をしているが)、土壌のマグネシウムは不足しているかもしれない。 食品加工の過程で穀物からマグネシウムが剥ぎ取られ、調理の過程で(水にとけて)さらに失われる。食品中のフィチン酸はマグネシウムと結合する。マグネシウムはクロロフィル(葉緑素)の一部分でもある。
マグネシウムは腸のどの部分からも吸収されるが、主たる部分は小腸である。食品中のマグネシウムの3分の1のみが吸収される。ただし、身体の需要が多い場合は吸収率が上昇する。吸収率はカルシウムレベルとも関連する(・・・一方が過剰だと、他方の吸収は抑制される。)。シュウ酸、フィチン酸、長鎖飽和脂肪酸もマグネシウムの吸収を阻害する。 マグネシウムは腎臓で再吸収される。ナトリウムの取りすぎ、高カルシウム血症、ゲンタマイシン、シスプラチン、サイロキシン、成長ホルモン、アルドステロンなどはマグネシウムの尿中への排泄を増やす。
骨からのマグネシウムの吸収は緩徐であるため、血中のマグネシウムは食事性に不足しやすい。一方で、体内にマグネシウムが不足していても、血中マグネシウム濃度が正常となることがある。最も正確な測定方法は、24時間から48時間の尿中マグネシウム測定である。
マグネシウム不足の原因として、慢性アルコール中毒、慢性肝炎、コントロール不良の糖尿病、利尿剤あるいは強心配糖体の過剰、吸収不良症候群など。アルコールは、マグネシウムの再吸収を阻害する。慢性肝障害は2次性アルドステロン症を起こし、腎からのマグネシウムの排泄を増やす。初期症状は、食欲低下、嘔気嘔吐、下痢、精神症状である。過剰興奮がよくあり、筋痙攣(こむらがえり)、痙攣もおこす。
マグネシウム不足に特異的な所見がないのが、見落とされる理由となっている。神経や心臓の症状は、カルシウム、カリウム不足と同様にマグネシウム不足のためかもしれない。低カリウム血症の場合は、血清マグネシウム濃度はどうであれ、マグネシウム不足を疑う。多発性硬化症と誤診された例もある。利尿剤、ステロイド内服、高カルシウム血症、下痢、アルコール中毒、低カリウム血症、そして液体プロテイン食などのバックグラウンドはマグネシウム欠乏を疑う。
マグネシウム不足は癌の発生に関与するかもしれない。なぜなら、マグネシウムは細胞の成長をコントロールする重要な役目を担っている。 癌の代替療法では緑色野菜が強調される。緑色野菜の葉緑素にはマグネシウムが含まれる。ポーランドでは、土壌と水にマグネシウムが豊富な地域では、白血病の発症が少ないという報告がなされた。
マグネシウムとカルシウムは、高血圧の原因として考えられる。一方で、ナトリウムは犯人と考えられなくなってきた。マグネシウムは高血圧症で低下している。軟水の地域や土壌にマグネシウムが不足している地域では、高血圧症の発症頻度が高い。マグネシウムが血圧を下げることは、1925年から知られている。ラットの実験では、中等度のマグネシウム不足で血圧上昇(111から131へ)、高度のマグネシウム不足では(111から143へ)上昇した。
マグネシウムを摂取する
推奨量(RDA)は320-420mgである。これは、最低必要量とみるべきである。
文明化された食事に含まれるマグネシウム量は250mgである。これは、多くの人々がマグネシウム不足であることを意味する。