コロナ禍における亜鉛欠乏症の意義・・・日本臨床内科学会雑誌より
日本臨床学会雑誌2021年9月号より
土田 哲雄先生
以下要約
①堺市民総合医療センターにて、COVID-19で重症化する患者を入院時に予測するためのマーカーを調べた。最終的に、年齢、HbA1c、LDH、血清亜鉛濃度が有用であった。(Yasui Y, et al: Analysis of the predicitive factors for a critical illness of COVID-19 during treatment. J Inf Dis, 100: 230-236, 2020.)
②重症化患者では、86%が低亜鉛血症(70㎍/㎗未満)を示していた。
③トランプの治療では、亜鉛、ビタミンD, メラトニンが用いられ、注目を集めた。
④バルセロナ大学病院への入院患者・・・249名中、死亡した患者の血清亜鉛平均濃度は43㎍/㎗で、生存者は63.1㎍/㎗であった。
(Guerri-Fernandez R. et al : Abstract 00177. Lower baseline zinc levels are associated with poorer outcome in COVID-19. ESCMID. 23-25. 2020
⑤亜鉛欠乏症は、加齢に伴う動脈硬化、中枢神経系の変性疾患、免疫力低下につながる。・・・最近の基礎研究より
⑥ボストンの老人ホームの研究より 血清亜鉛濃度を70μg/㎗未満と以上の群に分けたとき、低下群では明らかに肺炎罹患率が高く、罹患の長期化が見られ、抗生剤使用率も、抗生剤使用量も多かった。
肺炎球菌ワクチン接種後のIgM抗体反応は、十分に亜鉛を与えた群は、10%以上高かった。(Cabrera A-J-R: Zinc. aging. and immunosencence : an overeview. Pathobiol Aging Age Relat Dis, 5: 10. 3402 . 2015