糖質過剰摂取と統合失調症
2016年11月15日 再掲
興味深い論文がありました。
統合失調症の人は糖尿病が多いのです。
Medical Tribune 2016年11月10日号より
初回エピソード精神病でインスリン抵抗性、耐糖能異常が上昇
未治療の初回エピソード精神病(FEP)患者では、健康人に比べ耐糖能異常やインスリン抵抗性のリスクが上昇するとのメタ解析の結果がLancet Psychiatry(2016年10月5日オンライン版)で報告された。
解析を実施した英・Conventry and Warwickshire Partnership NHS Trust のBenjamin Ian Perry氏らは「統合失調症の患者における2型糖尿病の有病率の高さを一部説明しうるのではないか」との見方を示している。
両疾患の患者で炎症性サイトカインが上昇
統合失調症患者の死亡率は健康人の約2倍と報告されている。
その主要な要因は自殺や事故、危険を伴う行動ではなく、心血管疾患や2型糖尿病などの身体疾患の合併である。
2型糖尿病については、一般人口に比べ統合失調症では有病率が約30%高いとの報告がある。
抗精神病薬による血糖などへの影響がその要因として注目されてきたが、Perry氏らによると、抗精神病薬クロルプロマジンが開発された1950年代以前から糖尿病は精神障害に関連することが示されており、最近この関連性が再びクローズアップされているという。
特に解明が進みつつあるのが炎症の役割だ。血糖コントロール不良の2型糖尿病患者、あるいはうつ病や双極性障害、統合失調症などの精神障害がある患者やでは、健康人に比べてC反応性蛋白(CRP)やTNF-α、IL-1βなどの炎症性サイトカインの血中濃度が高いことが報告されている。
耐糖能異常が5倍以上
そこでPerry氏らは今回、抗精神病薬の使用が限定的で併存疾患も少ない段階であるFEPの基準を満たした患者を対象に、耐糖能異常やインスリン抵抗性などの評価が行われた研究12件(計1,137例、平均年齢28.8歳、男性64%)のメタ解析を実施した。
その結果、空腹時血糖値に関しては健康人と比べてFEP患者では有意な上昇は認められなかったが、HOMA-IRの測定値が含まれる9件の研究のプール解析から、FEPはインスリン抵抗性の上昇と有意に関連することが示された(健康人との差:0.3units, 95%CI 0.18-0.42, P<0.0001)
また、経口糖負荷試験(OGTT)のデータが含まれる7件の研究の解析では、FEPと耐糖能異常リスク(OGTT2時間値)が有意に関連していた(同23.58 mg/dl, 95%CI 2.63-11.27, P<0.0001)。
さらにFEP患者では、耐糖能異常の基準を満たすオッズ比が5.44(95%CI 2.63-11.27、P<0.0001)だった。
同氏らは「統合失調症患者では抗精神病薬を使用していなくても糖代謝異常リスクが高いのであれば、代謝マーカーをより厳格に管理することが必須といえる」との見解を示している。