ADHD ホッファー先生のケースレポート・・・幻視
ケース6
Ter.A.は1966年2月に生まれ、1972年12月初診。B.A.の兄弟である。文字が理解できず、記憶もできなかった。全ての文字は逆さまに見え、文字を書くのも困難だった。1972年の初め頃、大動脈狭窄症の手術を受け、下肢への血流が遮断された。この後、彼の症状は悪化した。容易に平静を失い、訓練ができなくなった。
初診時、彼は暗闇を恐れていた。影の中にお化けが見え、天井から大きな顔が彼を見つめているので。彼は幻想が事実でないことを理解していたが、それでも恐れていた。天井裏に足音が聞こえ、母親に調べるように主張した。学校ではクラスメートが彼を馬鹿にしていると信じていた。彼はしばしば抑うつ的で疲労していた。
私は彼に毎食後1グラムのナイアシンアミド、ピリドキシン250㎎1日一回を開始してもらった。一か月後、幻視による症状は改善してきたが、複視が依然として続いていた。3か月後に複視は消滅した。幻覚は消失したが、落ち着かない症状がひどかった。ナイアシンアミドを毎食500㎎へ減量し、ナイアシン毎食後500㎎を開始、さらにリタリン10㎎(1日一回)を開始した。1973年6月までに学校の成績はfairからgood~very goodへ上がった(いまだ読み書きに問題はあったが)。ジョン・ホッファー(エイブラム・ホッファーの息子)は彼を診察し、not improved(scoaring 1000)
8月には食欲不振のためナイアシンを中止。ナイアシンアミド1日1グラムを再開。1973年11月イノシトールナイアシン一日2グラムを開始。行動障害は改善したが、読書には問題があった。1974年2月イノシトールナイアシン1日3グラム、ピリドキシン一日250㎎へ増量し、リタリンは中止。イミプラミン25mgを眠前に開始。過活動スコアは61から39へ(1972年12月から1973年6月にかけて)。最終評価はnot improved
コメント:”統合失調症はプレペラグラである”、との仮説がある。読み書きの改善がもうひとつで、not improvedということになったようである。
ADHDと統合失調症が併存していることがわかる。