食物アレルギーのメカニズム

ドクターサロン 2025年7月号より 森田栄伸 先生

・小麦アレルギーは1000人に2人

・食物依存性運動誘発アナフィラキシーの大部分は小麦が原因となっている。

・「そこで私たちは小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーで、運動やNSAIDsによってアレルギー反応誘発されるメカニズムとして、小麦製品を摂取した際に、未消化な、大きな分子が吸収されて血中に移行することを明らかにしました。」

・「消化管上皮細胞は、通常はタイトジャンクションと呼ばれる細胞接着構造でくっついています。そうして、上皮を構成しているのですが、その状態では、大きな分子が消化管上皮を通過することは制限されています。しかし、消化管内では消化酵素や食物、糞便など、いろいろなものが通りますので、消化管上皮のタイトジャンクションは絶えず障害されていると推測されます。

しかし障害されたタイトジャンクションは通常、速やかに修復されます。消化管のタイトジャンクションの修復には、上皮細胞の膜にあるクロライドチャンネル2という分子が重要な役割を担っていることがわかっています。クロライドチャンネル2の活性特に、アラキドン酸カスケード、つまりアラキドン酸から生成されるプロスタグランジンやプロストンなどの分子が関与しているのです。

その際にアスピリンなどのNSAIDsを服用しますと、消化管上皮が障害を受けます。これは、タイトジャンクションを修復する機能が作用しないために、消化管上皮が障害されて胃腸障害を起こすと理解されます。」

運動すると、血流が筋肉に取られますので、消化管への血流が低下して、消化管上皮のタイトジャンクションの修復が障害される。

・食物アレルギーが圧倒的に多いのは乳幼児。乳幼児の場合は、実は食物アレルギーの発症に至るアレルゲンは経皮吸収されることがわかってきています。アトピー性皮膚炎の患者さんに食物アレルギーが多いのは、食物アレルギーがあるためにアトピー性皮膚炎を発症するのではなく、アトピー性皮膚炎になると、皮膚のバリアが障害されるために食物アレルゲンが経皮的に微量ながら吸収されて、感作がおきるかなのです。

 

・乳幼児の未熟な消化管バリアの影響