家族性地中海熱との鑑別に苦慮したTNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)の成人発症例
日本内科学会雑誌 2024年12月号より 高橋 索真ら 香川県立中央病院消化器内科
39歳男性。4年前からの周期性の発熱。間歇的な胸腹部などの疼痛のため当院紹介となった。紅斑様皮疹もあり家族性地中海熱を疑ったが、コルヒチンは無効でMEFV遺伝子変異は認めなかった。TNFRSF1A遺伝子にp.THR90lleのhetero変異を認めTNE受容体関連周期性症候群と診断した。プレドニゾロンは無効でカナキヌマブが奏功した。TRAPSは自己炎症症候群の一つで常染色体顕性遺伝が多いが、家族歴のない成人症例もある。
TRAPSは発熱、腹痛、移動性の筋痛、皮疹、結膜炎、眼瞼周囲浮腫、胸痛、関節痛などを繰り返し、ときにAAアミロイドーシスを併発する自己炎症症候群の一つである。
見たことも聞いたこともない病気。