天を以て得るものは固く、人を以て得る者は脆し

上記引用

 もちろん、人からものを教わることや、助けてもらうことは大切ですが、そこには思わぬ落とし穴があるということです。大学教員として学生を教えて生きた立場から言うと、教えられる側には、受け身のもの特有の弱さがあります。

しかし、もがき苦しみながら知識や技術を習得した人には、強さがあります。

コメント:このような訳になるようだ。「自然に従い得たものは強固であり、人の知恵によって得たものはもろい。」

下のような解説もありました。上の解説、解釈とは少し異なっている。

防災学的な意味合いでも引用されている。

人工物では本当には災害を防げない。コンピューター社会の脆弱性など。

いろんな解釈ができるようだ。

https://cmsweb2.torikyo.ed.jp/torido-ken/index.php?active_action=journal_view_main_detail&block_id=42&page_id=0&post_id=76

http://repository.lib.fit.ac.jp/bitstream/11478/1227/1/11478-1227_p29.pdf

天からのものは変わらないが、人からのものは変わる、また、天は不動であり、人は欲得で動くという話がありました。特に多様化、複雑化する昨今、人の方は大きく動いているように思われます。その中で、自分自身が課題意識を持つということが大切だという話がありました。インターネットの発達等で簡単に問題の答えを調べることはできますが、自分が成長するためにはその得られたものから自ら課題を見出すことが重要ということです。「自分探し」という言葉が使われるようになって久しいですが、主体的、能動的に課題意識を持って行動すること、「自分探し」ではなく「自分づくり」が大切とのことでした。

自然の道理によって得たものは堅固なものであるが,人
為や知謀の駆使によって得たものは脆いものである。自然
の営みを人間の力で押さえたり,変更したりするのには限
界がある。調和を図り共存共栄を果たすことが必要となる
であろう。自然の調和的営みは強く,人間の営み(人間が
自然の上に造ったもの)は脆弱である。人工物は永久不滅
ではない。これは,人間自身の人間力にもあてはまる。ま
た人間の人為的な力の結集である高度文明社会も,永久不
滅のものはなく,盤石に見えてそれにたより過ぎてしまう
と,自然の力によってもろくも崩壊され,人間は路頭に迷
う。高度文明社会の象徴であるコンピュータ制御による社
会も,コンピュータのシステムに不具合が生じる時も多々
あり,絶えずバッファーを備えておくことが必要なのであ
る。極論すれば,高度文明社会が自然の営みの結果として
崩壊してしまっても,その中でも自然と調和して,まさに
自然の構成員たる人間として,原始自然社会でも,人間ら
しく知恵を発揮して生き抜いていくことが求められるので
ある。
後一つ加えるならば,人間の「心の脆さ」をあげておき
たい。組織の中心として活躍し,組織を運営している人物
に対して,周りの人間はその人物が鋼のような強いメンタ
ルの持ち主であると信じて疑わないことが多い。しかしな
がらちょっとしたことで躓いてしまい,それによってメン
タルが崩壊し,組織から去ってしまうこともある。たより
にしていた人物のメンタルが意外と弱かったということを
経験することは,日常において多くみられる。人間の心は
脆いものなのであろう。