適応しえぬ者たち

「エリック・ホッファー自伝」より

 

「開拓者と放浪者の類縁性」

 

「弱者が演じる特異な役割」

 

「時に弱者が強者に勝利する」

 

要するに、社会に適応できない者こそが、新しい価値を創造しうると述べています。
満ち足りて満足していたら危険をおかして冒険する必要はないですから、当然のことかもしれません。
 社会が不安定で先が見えない現在こそ、社会的不適合者が活躍するチャンスかもしれません。

 

開拓者とは何者だったのか。家を捨て荒野に向かった者たちとは誰だったのか。人間はめったに居心地のよい場所を離れることはないし、進んで困難を求めることもない。財を成したものは腰を落ち着ける。居場所を変えることは、痛みを伴う困難な行動だ。それでは、誰が未開の荒野へ向かったのか。明らかに財を成していなかった者、つまり破産者や貧民。万能ではあるが、あまりにも衝動的で日常の仕事に耐え切れなかった者。飲んだくれ、ギャンブラー、女たらしなどの欲望の奴隷。逃亡者や元囚人など世間から見放された者。そして、このほかに冒険を求める少数の若者や中年が含まれる。おそらく現在、季節労働者や放浪者に落ちぶれた者と同じタイプの人間が、一昔前は開拓者の大部分を占めていたのだろう。