フランスの偉大な外科医アンブロワーズ・パレの話

現代でも、人間は同じことを繰り返していると思う。

上記より引用

フランスの偉大な外科医アンブロワーズ・パレ(訳注 1510~1590年。フランスの王室公式外科医。近代外科の発展に多く貢献した)が軍医として働き始めたころは、手や足を切断したあとの傷口を焼きごてで焼いて出血を止める方法が一般的でした。また、銃や大砲によってできた傷では、沸騰させた脂を傷口に注いで消毒する方法がとられていました。

ある日、パレは脂を使い切ってしまい、柔らかな軟膏を使って傷を治療しました。彼はそのことを一晩中心配していましたが、翌日になってみると患者には異常がないだけでなく、油で治療した患者ほど痛がっていないことに気づきました。

頭のいいパレはこの経験から学んだことを生かし、この日から油ではなく軟膏で傷の手当てをするようになりました。また、血管を糸で縛って止血する結紮法や義肢、それに多くの外科用器具も取り入れました。

案の定、パレも革新者にありがちな運命に直面しました。(医学界の革新者は、他のどの分野よりも試練に見舞われることが多いのです)。彼は他の外科医から、危険で医者にふさわしくないと非難されました。年長の医者たちは徒党を組んで彼に対抗し、ラテン語やギリシャ語の読み書きができないことなどをやり玉にあげて、彼の評判を落とそうとしました。パレの名声が高まったのは、兵士たちが彼を信用し、彼に治療してもらいたがったからでした。兵士にはフラン医学界の意見などどうでもよかったのです。

 

本当の悲劇は、何も変わらなかったことです。医学界は効果がない(しかも患者を大きなリスクにさらす)治療法をずっと守り続けてきた一方で、効果がある方法や効果が証明されている方法には反対し、打ち消そうとしてきました。