全身性強皮症で長期間経過観察されていたが、WERNER症候群として確定診断された1例

日本医師会雑誌 2021年11月号より

51歳、男性、特徴的な皮膚所見から40歳台で全身性強皮症として診断されたが、特異的自己抗体は陰性であった。発熱と足趾の熱感、疼痛を主訴に受診、蜂窩織炎として入院加療を行った。鳥様顔貌やアキレス腱等の多発且つ非対称性の石灰化所見、20歳台で2型糖尿病歴、早期下肢切断歴等強皮症と異なる臨床所見をもち、遺伝子検索の結果、WERNER症候群と判明した。非特徴的な強皮症の中年男性の一部は、WERNER症候群を考慮する必要がある。

WERNER症候群は、遺伝性早老症の一つ。症例の圧倒的多数が日本に集積しているという。

皮膚所見が強皮症に似る。頭が真っ白。さすがに早い。”鳥様”顔貌というが、なんで鳥なのかよくわからない。アキレス腱の石灰化が特徴的。

早老症は、白髪や禿げ頭、糖尿病や心血管疾患等によって生じるさまざまな症状が実際の年齢よりも早期に出現・促進される疾患群の総称である。WERNER症候群は、常染色体劣性遺伝式の代表的な遺伝性早期老化症で、その約80%は日本人の報告であり、日本には2000人程度の患者がいると推定されている。