新型コロナワクチン接種後の肉眼的血尿や尿異常

ワクチン接種後にIgA腎症を発症するケースが報告されている。

日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種が急速
に進んでおりますが、腎炎の患者さん、特にIgA腎症の患者さんではワクチン接
種後に尿が赤くなる(コーラ色や紅茶色)いわゆる「肉眼的血尿」症例が散見
されています。日本腎臓学会・厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究」
IgA腎症ワーキンググループ合同研究班の全国アンケート調査によると、ワクチ
ン接種により肉眼的血尿を含む尿所見異常が誘発されたことが疑われる方が比
較的高頻度に出現することがわかりました。このうち約7割はIgA腎症の診断が
ついている方である一方、残りの約3割の方は、これまでは軽微な尿所見(尿潜
血±)程度で、腎生検などでIgA腎症などの診断がついていない方も含まれてい
ました。なお、大部分の方は肉眼的血尿は数日以内に消失し、深刻な腎機能障
害に至った方はおりません。
一般的に、肉眼的血尿を認めた場合は「泌尿器科」の先生にご相談される方が
多いかもしれませんが、新型コロナワクチン接種後に肉眼的血尿を認めた場合
はIgA腎症などの腎炎である可能性が十分に考えられるため、その際は是非「腎
臓内科」を受診し、腎臓専門医の判断をあおぐようにしてください。尿所見や
腎機能の経過を慎重にみさせていただきます。ご不明な点があれば、いつでも
当科に御連絡、御受診下さい。
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2021年8月5日
順天堂大学医学部附属順天堂医院
順天堂大学医学部 大学院医学研究科 腎臓内科学講座
教授 鈴木祐介

 

早くから指摘があった「接種後にIgA腎症の急性増悪」