肢端紅痛症とは
日本臨床内科会誌 2025年3月号より 赤く腫れる足の女性
引用
1か月前より誘因なく、ちくちくした痛みを伴う右下腿浮腫が出現した。総合病院の内科では内科的問題ではないと言われ、また皮膚科では下肢の血栓症かもしれないと判断され、本日整形外科に相談された。
拝見したところ、右下腿中央部から下が発赤し、左より熱く感じた。また浮腫みはfast edemaであった。直観的に下肢静脈血栓症を疑い、下肢静脈エコーを施行したが、まったく血栓なくきれいであった。
はて、何だろうか、話を聞き続けた。外傷歴はない。「お風呂に入ると悪化するので、ひどく痛い時はお風呂をやめる。寒い日でも右足は冷たいシャワーで洗っていた。ベットではどんない寒い冬の日でも痛む足を布団の外へ出さないと寝られない。整形では暖かくしなければだめと言われるが、温シップは最悪だった。」
半年前に読んだ本を思い出した。本の冒頭部分だったため記憶にあり、患者さんを待たせてその本を急いで開いてみた。肢端紅痛症だ!
病態としては皮膚のsmall fiber neuropathyすなわち神経障害が主病態で、血管の収縮拡張の調節が障害⇒皮膚における動静脈シャント血流の増加⇒皮膚表層の血流が増えて紅斑が形成⇒同時に深部で血流が低下し、虚血により疼痛が発生するらしい。
コメント:見たことがない。あまりよい治療がないようだ。血管拡張剤を使うらしい。サプリならマグネシウムだろうか。
いずれにせよ、問診の重要性を教えてくれるケース。