骨粗しょう症治療と顎骨壊死

月刊保団連2025年3月号より

非定型大腿骨骨折とオーバーシュート  永井 隆士 医師(昭和大学医学部リハビリテーション医学講座) より

骨吸収抑制剤のデメリットとして、非定型大腿骨骨折とオーバーシュートがある。非定型大腿骨骨折は、骨代謝回転が過度に抑制された結果、微小なひび割れの修復が行われず最終的に疲労子骨折を来す。ビスホスホネート製剤に多く報告さているが、デスノマブでも症例報告されている。オーバーシュートは、デスノマブの中断症例でみられる現象であり、中断によって過度の骨代謝回転が引き起こされ、骨密度が大きく低下してしまう。骨そしょ症マネージャーや調剤薬局の薬剤師との連携が重要である。

一般的に高齢者が転倒して受傷する大腿骨の骨折は、大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折)である。この骨折は、大腿骨の頚部や転子部が骨折する。骨吸収抑制剤による骨折は、通常とは異なり転子下や骨幹部で骨折するため、非定型骨折と呼ばれる。

我々のデータでは、15年間に大腿骨1079例の大腿骨骨折手術を経験し、そのうち8例(0.74%)にAFFを認めた。特徴としては、前例ビスホスホネート製剤の使用歴があり、骨折直前まで使用していた。ビスホスホネート製剤の平均使用期間は50か月(18か月から68か月)であり、外側皮質の肥厚は全例に認めた。骨癒合は平均16週(12週から27週)であった。

症例報告では、6年間ビスフォススを使用していた女性が、大腿部の歩行時痛を主訴に受診。レントゲンで大腿骨の出っ張りを指摘され、非定型骨折と診断。 ビスフォスの中止で改善したという。
こういうケースは自分の診療でもあり得ると思った。