糖質制限によっておこる皮疹

ニッケイメディカルクイズより 43歳女性。体幹の痒みを伴う紅色丘疹と色素斑

2週間前より前胸部、背部~腰部に掻痒の強い紅色の皮疹が出現してきた。近医でストロイド外用薬を処方されたが効果がなく、当院を紹介された。患者は5週間前より、食事から炭水化物を制限したダイエットを行っており、ここ2週間ほどで体重は93キロから81キロへと急激に減少した。写真は初診時。

 

答え ダイエットに伴う色素性痒疹

ポイント 体幹の痒みの強い網目状の紅斑では、色素性痒疹を考える。

本症は、1971年に本邦で初めて提唱された疾患であるが、当初その成因に関しては不明であった。しかしながら、1980年代後半に入り、過度のダイエットや断食、また1型糖尿病の発症を契機に本床が出現したとの報告が相次いでなされるようになり、現在では色素性痒疹はダイエットや糖尿病で誘発される皮膚疾患としてとらえられるようになった。そして、ケトーシスはこれらの症例に共通して見られる所見であることから、本症とケトーシスとの関連が注目されるようになった

 

本症例も短期間で体重が12キログラム減少と、急激なダイエットにより皮疹が誘発された例だった。当院初診時、血中ケトン体は著明に上昇しており、総ケトン体2137μmol/L(正常130μmol/L以下)、また尿ケトン体も3+であった。

 

治療に関しては、ダイエットにより誘発された症例ではダイエットの中止、また糖尿病の発症に伴った症例ではインスリン治療などによる糖尿病の治療により、皮疹は改善傾向となる。薬物治療としては、本症ではステロイド外用の効果は乏しく、ミノサイクリンの内服(200mg)が著効する。本症例でも、極端なダイエットを中止するように指示するとともに、ミノサイクリンを投与したところ、皮疹は2週間で色素沈着化し、軽快した。

 

考察:ケトーシスは病態を示しているもので、皮疹の原因とは必ずしもいえないと思う。
高タンパク食になったことで、免疫が活発になり、アレルギーが顕在化したのではないでしょうか。

以下 マンガで分子栄養学1 小西伸也著より

 免疫細胞は蛋白質で作られます。
その寿命は4日
高タンパク食で
どんどん元気になった免疫細胞が
低蛋白食で作られた
質の悪い皮膚や関節の細胞を攻撃
アレルギーが悪化