ビタミンD不足と歯の劣化

高橋純一先生のFBより引用・・・昨日、歯科医師の先生にお話をお聞きしました。亜鉛欠乏の歯は見たらわかるそうですね。
高橋先生は、「口の中を見たら、その人の人生がわかる」とおっしゃっていました。
虫歯だらけで、歯並びが悪い私は恥ずかしいです。

鉄欠乏であれば、爪や結膜でみれます。亜鉛欠乏もビタミンD不足も身体所見で見れるととてもよいです!!

 

ビタミンDの再考(その13)

ビタミンD欠乏は、抜歯後の治癒不全など予期せぬ結果を招く事がある。

脂溶性ビタミンは、骨や粘膜の治癒に直接関与している。

歯科には特に鉄亜鉛を含む質的な栄養失調とビタミンADEKの関与が非常に大きい。

●ある患者さんから気付いたビタミンD欠乏

20歳代前半の女性(写真は数年前の初診時の前歯、数年後の虫歯の状況、最近抜歯した智歯)

抜歯後の予後が非常に悪い。以前は質的栄養失調だと諦めていたが、この患者さんの智歯抜歯後の異様な腫脹にはビタミンD不足が関与していたのではないか?

 

以前から気付いていた事もあった。

口腔内は、エナメル質形成不全もあるが、エナメル質が非常に薄くて脆い

最初の来院から数年経って、余りの虫歯リスクの悪化に驚く(確かに口腔内清掃は行き届いていないが 今回の論点は歯垢ではない)

既往を聞くと、普段の生活で 何度も転倒、容易に骨折、靭帯損傷。皮膚の掻痒、アレルギー様の皮膚炎、夏でも長袖。
以前、方法論を間違えた糖質制限で皮膚疾患悪化。

最も問題は長期の甲状腺機能亢進の疑い(現在コントロールされているらしいが、近々の血液データもなく外見的には懐疑的)
明確な質的栄養失調だが多因子の病態を含む事ので 安易なサプリメント使用に注意を要する。炎症を伴う鉄の利用障害もありそう。

基本的に糖質過剰だが甲状腺疾患を抱えているので、安直には厳格な糖質制限を踏まえた栄養療法が使えない。

ここで考えるべきは、夏でも全く皮膚を日光に晒さない生活のビタミンD欠乏症を疑う。

実は、智歯抜歯を行った際、余りに智歯のエナメル質が菲薄で脆弱な事でビタミンD欠乏症の歴史の長さを疑った。

そして 不十分な食事性カルシウムや骨基質の石灰化を障害する疾患も疑う。

ビタミンD欠乏症は低カルシウム血症を引き起こし,これにより副甲状腺ホルモン(PTH)の産生が促進され,副甲状腺機能亢進症が起こり、カルシウム吸収,骨からの動員,および腎臓での保持が高まるが,リン排泄が増加する。その結果,カルシウムの血清中濃度は正常であっても,低リン血症のため,骨の石灰化が障害される。

ビタミンD欠乏症では,通常血清カルシウム濃度は低値となるか,二次性副甲状腺機能亢進症のため正常である場合がある。

血清リン濃度は通常低下し,血清アルカリホスファターゼ値は通常上昇する。血清PTHは正常であるかまたは上昇している。

因みに 慢性腎臓病,様々な尿細管疾患,家族性の低リン酸血症性[ビタミンD抵抗性]の既往なしらしいが詳細不明。

ただし、慢性代謝性アシドーシス,副甲状腺機能低下症[ビタミンDの吸収を低下させる]への移行は疑う。

ビタミンD欠乏症で起こる歯科的病態は、口腔内アシドーシス、骨の石灰化不全による治癒不全(歯周組織や根尖周囲組織)、
エナメル質の脆弱化、関節症状、軟骨の異常、潤滑不全、易骨折性、虫歯リスクの上昇。

二次性副甲状腺機能亢進症や代謝性アシドーシスによる血清カルシウム濃度上昇で歯石の沈着要因となる。

この患者さんの歯科疾患や全身状況から類推する ビタミンD欠乏症、甲状腺機能亢進、二次性副甲状腺機能亢進症には十分注意を要する。