フェリチンの値は50以下にするべき?
中村篤史先生が以前書かれた記事より
鉄によるこれらの症状は全て、必要としないものを摂取したことによる体の正常な拒否反応なのです。血液検査に問題がなく、かつ、血清フェリチン値が100 ng/cc以上の人は、瀉血、献血、イノシトール6リン酸などの鉄キレートの摂取、遠赤外線サウナなどで、血清フェリチン値を50 ng/cc以下まで下げるように努めるべきです。
この意見に従うと、男性はほぼ全員100以上なので、瀉血しなければいけなくなりますね。
私のみるところでは、やはりフェリチン100は欲しいです。
60代男性。年に1-2回長年にわたり、熱心に全血献血を行っている。花粉症あり。糖尿病あり。痔出血たまに少量あり。
2018年夏”みぞおち部分にしこりがある”との訴えで受診。食事は摂れる。
2019年1月 ””右きろく部にやはり違和感がある””昨日はお腹の調子悪かった。” との訴え。不安そうな様子。
フェリチン51.0 ヘモグロビン13.3g MCV93.3 尿素窒素 13.8 ALP 148 AST 15 ALT 15 LDH 150
心電図、トロポニン等正常。
鉄剤の内服を開始してからは、訴えがなくなった。
むずむず脚症候群(レストレスレッグシンドローム)の鉄内服基準は、フェリチン75以下
「IRLSSG(国際レスレッグス症候群研究グループ)のガイドラインにフェリチン75以下の場合、第一選択で鉄剤投与の記載がある」
フェリチンの正常値50-200μg/L
無機鉄は細胞毒である。
人体は組織の中に何通りもの精巧な防御システムを持っている。
細胞内ではフェリチン、ヘモジデリンとして蛋白と結合して貯蔵される。
アポフェリチンは2価鉄イオンと結合し、第二鉄状態で貯蔵される。
フェリチンは網内系細胞に集積するので、蛋白凝集がヘモジデリンとして形成される。
貯蔵された鉄は、網内系から放出される(ヘモジデリンの方が利用されにくい)。
通常の状態では、フェリチンが体内の鉄の総量を反映するので、検査としても有用である。
正常値は、年齢と性別で異なる。
成人男性は平均100μg/L 、成人女性の平均30μg/L。
最近では、鉄欠乏性貧血が、直接的に心機能低下に悪影響をおよばす機序がある可能性が指摘されている。また、慢性腎不全でエリスロポエチンに対する反応性が悪い時に、心イベント予防の意味でも、血清フェリチン値100ng/ml未満では鉄補充療法を行うべきとされている。