江部康二先生・・・GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回
ドクター江部の糖質オフ!健康ライフより引用
大変勉強になります。
<GAとHbA1cの測定原理と食後高血糖の反映度合い>
HbA1cとグリコアルブミン(GA)は、血糖が、血液中のヘモグロビンとアルブミンと、それぞれ結合して変化したものの割合をパーセントで示す検査です。
血液中のブドウ糖は、いろんなものにへばり付く性質があり、ヘモグロビン(赤血球の中にあるタンパク質)にくっついて変化したものがHbA1cで、アルブミンという血清中のタンパク質にくっついて変化したものが、グリコアルブミン(GA)ということです。
そして、同じ HbA1C値の糖尿病患者さんでも、食後高血糖が頻回にある患者さんの方が、グリコアルブミンが高くなりやすいことが分かりました。
アルブミンが血糖と結合してグリコアルブミンになるスピードは、ヘモグロビンが血糖と結合して HbA1Cになるスピードより、9倍くらい速いと推測されています。
そのため、ごく短時間だけ現れる高血糖に対しては、グリコアルブミン値の方が HbA1C値より敏感に反応しやすいと考えられます。
ごく短時間だけ現れる高血糖は、通常は糖質摂取後の高血糖です。
これが、「グリコアルブミン検査は食後高血糖の評価に適している」とされる理由です。
言い換えれば、HbA1cという検査は、食後高血糖を見逃している可能性が極めて高く欠陥のある検査と言えます。
例えば糖質を普通に食べている糖尿人で、HbA1cが6.5%とか、一見コントロール良好であっても、実際には食後高血糖が毎食生じていて合併症予防は困難なことも考えられます。
このことが、日本で糖尿病合併症(透析16000人以上、切断3000人以上、失明3000人以上)が一向に減らないことの理由の一つと考えられます。
<GA/HbA1cの比が大きいと食後高血糖が頻回>
食後高血糖の存在をよりはっきりとさせる方法として、グリコアルブミン値を HbA1C値で割って両者の比を計算する方法があります。
血糖コントロールが良いにしろ悪いにしろ、それが安定している場合、両者の比は、およそ3:1です。(但しHbA1cはJDS値)
つまりGA値が HbA1C(JDS)の約3倍です。
この約3倍というのは昔のHbA1c(JDS値)で計算したらぴったりですが、HbA1c(NGSP値)の場合は少し小さくずれます。
従って、GA/HbA1c比の計算をするときは、JDS値のHbA1cにするとよいです。
*JDS値+0.4=NGSP値
*NGSP値-0.4=JDS値
食後血糖値の変動が大きい糖尿人では、先ほど述べたようにグリコアルブミンの方が上昇しやすいため、GA/HbA1c比が大きくなります。
食後高血糖が頻回の場合は、GA/HbA1c比が4:1に近付いたり、それ以上に差が開くこともあるようです。
この差が大きいほど、合併症が進行しやすくなることを示した研究報告が最近増えてきました。
<糖質制限食なら、GA/HbA1cの比が小さい>
【江部康二の検査データ例】
・HbA1c(NGSP):5.7%(基準値4.6〜6.2%)
・HbA1c(JDS):5.3%(基準値4.3〜5.8%)
・グリコアルブミン(GA):13.5%(基準値11.8〜16.0%)
上記の検査データだと、JDS値で計算して、GA/HbA1c比は、2.37:1とかなり低いです。
これは食後高血糖が極めて少ないことを示しています。
一方、ある50代男性糖尿人Aさんの検査では、
・HbA1c(NGSP):5.8%
・HbA1c(JDS):5.4%
・グリコアルブミン(GA):18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAも20%未満と、コントロール良好ではあるのですが、私のデータと比べるとかなり高値です。
AさんのGA/HbA1c比は、3.33:1で、私よりかなり高いです。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あったこととなります。
よくよくAさんに聞いてみると、「麺類が好きで時々食べていました」ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
すなわち、食後高血糖のない質の良いHbA1cと、食後高血糖のある質の悪いHbA1cとを、GA/HbA1c比によって、区別し評価できるということになります。
GAとHbA1cは同じ月には保険請求できませんので、交替で調べるとか、基本HbA1cで、時々GAとかいろいろ工夫して検査すればいいと思います。
HbA1cより、有用なので、グリコアルブミン検査は今後、もっと普及して欲しいと思います。
それによりグリコアルブミンと合併症の関係がさらに明確になることでしょう。
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