内科医とタバコ業界の蜜月
上位引用
19世紀に入ると、タバコは徐々に医療目的でつかわれなくなっていったようだ。1811年、イギリス人科学者ベン・ブロディがニコチンは心臓に有害であることを発見。さらに1828年には、研究者たちがアルカロイドの一種であるニコチンの単離に成功した。その結果、ニコチンが脳や神経系に悪影響を及ぼすことが確認され、医学会ではタバコにたいして否定的な意見が高まった。
20世紀書とには、喫煙による健康リスクが徐々に明らかになった。この傾向に警戒したタバコ業界は、消費者の不安を和らげようと、内科医と強力な連携をはかることにした。一般市民と同程度の本数のタバコを吸っていた医師たちは、喫煙は健康に悪影響をおよぼすと指摘する最新の調査に怯えつつ、喫煙者は必ずしも病気になるわけではないという不可解な事実に安堵しているところだった。そんなわけで、タバコ企業のために推薦文を書いてくれる内科医を探すのはさほど困難ではなかった。「宣伝に協力してくれたら、お好きな銘柄を何箱もプレゼントしますよ」と申し出るだけで済んだからだ。
コメント:現代の医学・医療も後の人々に笑われるところが少なくないだろう。