感染症と亜鉛

上記引用 (宮田学先生)

高齢者では感染に対する抵抗性が低く、容易に呼吸器感染を起こし急激に重症化する。肺炎は常に高齢者の死亡原因の上位を占める。

高齢者における感染症の頻度を二重盲検定により亜鉛投与群と非投与群で比較した成績によると、上気道炎、感冒などの呼吸器感染の頻度は亜鉛投与群で有意に低く亜鉛投与により呼吸器感染が予防できる可能性を示している。

Prassadらは50人の健常な高齢者(55-87歳)を封筒法により亜鉛投与群と非投与群に分け、感染症の発症頻度、炎症性サイトカイン、酸化ストレスマーカーの血清中濃度を比較した。プラセボ群では12か月の間に一人平均1.4±0.95回の感染がみられたのに対して、亜鉛投与群では0.29±0.46回と感染頻度は有意に少なく、12か月の観察期間中に一度も感染症状がみられなかたたものはプラセボ群で25例中3例であったのに対して、亜鉛投与群では24例中(1例脱落)17例を数えた。

浮田らは、高齢の長期入院患者について感染症の有無と血清亜鉛レベルについて調査を行い、6か月以内に抗生物質の投与を受けたことのない非感染群の血清亜鉛濃度は56.9±14.4㎍/㎗であったのに対して、感染群では47.7±14.9㎍/㎗と有意に低く、血性アルブミン、総コレステロール、ヘモグロビンも感染群で低値を示したと報告した。

コメント:海外では、亜鉛と言えば免疫強化と言われているらしい。

Prassad A S., Beck F W., Ban R. et al :Zinc supplementation decreases incidence of infection in older patients who have long-term hospitalizations. Biomed Res Trace Elem. 2008:19:260-264.

Serum Zinc Deficiency Increases Susceptibility to Infection in Older Patients Who Have Long-term Hospitalizations