書評”糖尿病は砂糖で治す”その8 オーストラリアンパラドックス
オーストラリアの疫学調査(1980年から2003年)にて以下のことが明らかになったとのこと。
①砂糖の摂取量は約23%減少
②甘味料(高フルクトース・コーンシロップなど)摂取量約16%減少
③甘味料入りの飲料の販売・摂取量とも減少
④全人口で肥満は約3倍に上昇
一方で、ピザ、ケーキ、クッキー、ポテトチップスなどの菓子(でんぷん類)とPUFAが増加した。
また全体の脂肪摂取量も増加したという。
以上が、崎谷式パレオダイエットの理論を裏付けるものとされています。
この研究については批判者もいるようです。
砂糖に甘いオーストラリア、パラドックスめぐる議論も
以下引用
同氏は、砂糖を絶って体重を10キログラム減らした経験から、「パラドックス」研究を覆すための取り組みを続けている。同研究に用いられた砂糖摂取量の減少を示す食糧農業機関(FAO)のデータについて、信頼できる数字に基づいておらず、意図的に偽造されていると主張する。著名な栄養学者ローズマリー・スタントン博士も同氏の主張を支持。研究に使われたデータは明確な結論を引き出すには十分ではないとしている。
アメリカではほぼ反対の臨床研究報告がなされています。
以下
「江部先生、糖質制限は危ないって本当ですか?」 より引用
かつてアメリカで、脂質の摂り過ぎが肥満の原因だと疑われた時期がありました。そのため、国を挙げて啓蒙活動に取り組み、1971年から2000年までの30年間で脂質の摂取比率を36.9%から32.8%と4.1%減少させることに成功しました。
ところが、意に反して、1971年には14.5%だった肥満率が2000年には30.9%になり、30年間で肥満は倍増してしまったのです。2010年には35.9%とさらに悪化しています。つまり、脂質の摂取比率を減らしたら、肥満を減らすどころか、逆に増やしてしまう結果となってしまったのです。
実は、肥満が増え続けていたこの期間、脂質の摂取量が減少する一方で糖質の摂取比率は42.4%から49.0%と6.6%増えていました。そのため現在では、肥満の原因は脂質の過剰ではなく、糖質の過剰ではないかと考えられるようになりました。
いろいろいっていますが、糖質制限で減量できることは自明のことだと思います。でんぷんで肥満になるのは当然でしょう。
つまり、この研究から砂糖や果糖が良い、という結論にはならない、と思います。
多くの人が同意されると思いますが、砂糖や果糖は明らかに肥満の原因になっていると思います。
①毎年柿をたくさんたべて太る女性がおられる。果糖は太りやすい、というのは一般常識だろう。
②果糖は中性脂肪上昇効果が強く、コレステロールプロファイルを悪化させる。さらに内臓脂肪へ変化しやすい。
③果糖は思った以上に、血糖上昇効果がある。(糖尿病患者さんからの報告や、フルクトース負荷試験より)
④砂糖は血糖値を上昇させ、脂肪合成ホルモンであるインスリンを分泌させる。麻薬的な中毒症状がある。
⑤下は1日160gの砂糖を摂り続けたドキュメンタリー・・・ぶよぶよになって、精神不調をきたす!
監督と脚本を手掛けるデイモン・ガモーが実験台となり、60日間1日ティースプーン40杯分の砂糖摂取にチャレンジする過程を追った驚異のドキュメンタリー。生まれてくる子供のためにも豊かな食育を目指す監督が、カロリー摂取量は変えずに健康食品とうたわれる食品から砂糖を摂る日々を追い掛ける。スティーヴン・フライやイザベル・ルーカスら著名人も出演。普通の食品に入り込んでいる砂糖が人体に及ぼす影響に仰天する。
筆者の主張”砂糖、果糖でやせる””糖尿病は砂糖で治す”は、間違いだと思います。