ALSについて・・・Mary Newport医師の書籍より
ココナツオイルとMCTオイルによるアルツハイマー病治療で、日本でも有名なメアリー・ニューポート医師の書籍。2015年発売
“The Coconut oil and Low-Carb Solution” より引用
Amyotrophic Lateral Sclerosis
ALSは脊髄の運動神経、大脳皮質、脳幹が傷害される、悪夢のような神経変性疾患である。50%の患者は診断後3年以内に死亡する。
5年以内に90%が死亡する。死因は呼吸不全であることが多い。平均発症年齢は55歳であるが、もっと若い人にも発症しうる。米国内に22000人以上の患者がいる。
ALS: A Progressive Paralyzing disease(進行性で麻痺性の病気)
ALSはむしろルーゲーリック病として知られている。有名な野球選手で1941年に亡くなった。 ALSの最初は、手や足の一箇所か数箇所の力が弱まることで発症する。しだいに筋肉は萎縮し、筋けいれん、スパスム、硬化、fasciculationなどをおこす。ALSでは感覚障害を認めない。病気の全経過を通じて、意識や認知機能の低下を認めない。病気が進行すると、自分で何もできなくなり、全面的な介助を要する。話したり、飲み込んだり、呼吸したりといったことができなくなった場合、難しい判断を迫られる。口からのチューブ栄養、胃ろう栄養、人工呼吸器の使用など。
多くの神経変性疾患と同様に、ALSの決定的な問題点は、脳神経細胞にブドウ糖が適切に取り込まれないことである。(Van Laere, 2014) ケトン体を脳細胞の燃料とすることが、病気に有効な可能性がある。
アルツハイマー病の原因が不明であるように、ALSの原因もはっきりしておらず、現在(2015年)使用できる薬剤で病気の予防や進行抑制、改善させる薬は存在しない。
Clarence Gets the Upper Hand in His Battle with ALS (ClarenceはALSとの闘いで優位に立った)
Clarence Machlanは58歳のときに、家族性ALSの症状に気づいた。正式にALSと診断されたのは2008年のことである。8年ほどこの病気で苦しむ母親からこの病気をうけついだ。最初の1年目、Clarenceは特別な治療に取り組むことはなかった。なぜなら、彼の主治医は”何もできることはない”と言い、彼もその言葉を信じたからであった。
1年後の2009年の秋、Clarenceはある本を読んで考えを広げることにした。彼はマグネシウム不足に関係する症状を改善させるために、塩化マグネシウムを水に溶かして飲み始めた。そして6週間後よりココナツオイルを摂り始めた。1日4杯のテーブルスプーンから始めて徐々に増やし、数ヵ月後には、テーブルスプーン3杯を1日3回(計9杯)を、食物に混ぜて摂取するようにした。その1年後からは、悪い足(右足)にココナツオイルを塗りこむマッサージもはじめた。(1日2回)6週後には筋力の改善とともに、3/8インチほど大腿周囲径が増加していた。
彼が最初に手紙をくれたのはココナツオイルを開始してから14ヶ月後であった。私に感謝の気持ちを述べ、何が起きたのかを述べ、その後定期的に報告をくれた。
既に述べたとおり、ALSは進行性の病気であり、着実に進行する。Clarenceによると、この治療を始めてから数ヵ月後からむしろ改善を認めるようになった。そしてこの傾向は継続した。これは2009年9月15日から2012年4月3日にかけての彼の報告である。
・右下肢の筋力低下により歩くときは松葉杖などが必要であるが、いくらか反応がよくなっている。
・右大腿周囲径は1+3/8インチ増加。左大腿周囲径は1+1/2インチ増加。(1インチは25.4mm)
・両下肢の筋力が改善している。右脚で踏ん張ることは全くできなかったが、多少できるようになった。
・体重が5ポンド増え、148から152.9ポンドへ。(1ポンドは0.45kg)
・ALSの機能スコアは5%改善
・右下垂足があるが、ごく軽度になっている。
・以前よりも、右足のつま先を左右上下に動かせる。
・座位でパンツをはくために右下肢を挙げることが可能になった。右足に靴を履くことも、以前より困難でなくなった。
・右のくるぶしはいつもキズだらけだったが、今はない。
・寝返りが大変困難であったが、改善している。
・夜間の唾液分泌が問題であったが、もはや問題ない。
・多少の不眠もあり、夜間2回ほどトイレへ行っていたが、ほとんど起きなくなった。
・両足の痙攣が全くなくなった。
・両手の筋力低下はもはやない。
・筋電図検査が2011年と2012年に行われたが、変化は認めなかった。ALSでは通常はありえないことである。主治医はALSの診断が間違っていたのではと疑い始めたが、現在の治療を継続するように言った。
治療開始から4年後の2013年、clarenceは毎日のココナツオイルによる右足のマッサージ(1日1回)と1日9杯のココナツオイルを継続していた。彼に新しい症状はなく、脚、指、手、腕の力は改善し続けた。状況が良いので、右膝関節の人工関節置換術も行われた。(右膝は、ALSとは関係しない病気であった)彼にはいまだに松葉杖が必要だが、必要なときは車の運転もできる。彼によると1年に1度2週間ほどココナツオイルを中止してみるとのことである。ココナツオイルが効いているのか確かめるために。いつも右足がつるような感じが少しでてくるので、自分はまだ病気があることがわかるのだという。
ClarenceはALSの人々に情報を伝える手助けをしてくれ、2013年の始めにThe 700 Club(www.cbn.com/tv.2079485277001)にとり上げられた。パーキンソン病の改善した人も同じビデオに取り上げられた。ALSにココナツオイル等を使っている人の情報は以下。www.alswinners.com.
I ‘m Still Walking!
2012年5月24日あるALSの男性からメールを受け取った。”私はあなたのおかげで、まだ歩いています!”と書かれていた。この5月6日に毎年行う筋電図検査を受けました。昨年と変化がありませんでした。ですから、あきらかにココナツオイルと塩化マグネシウムは効果があるのです!!
Winnign the Fight
Vince Tedoneはタンパの引退した小児外科医である。彼は娘のDeannaのALSに対し、集中的な治療を行った。このプロトコールは現在ではDeanna’s protocolとして知られている。ココナツオイルの内服とマッサージを行い、加えてalpha-ketoglutarate, L-arginine, CoQ10, gamma-aminobutyric acid(GABA), glutathione, nicotinamide adenine dinucleotide(NADH)など。すなわち、ミトコンドリアのATP産生能を改善させ、glutamate(グルタミン酸:ALSでは代謝が上手くできず、脳内で集積すると考えられている脳内神経伝達物質)の毒性を解除し、抗酸化作用のあるサプリメントを使用した。Deannaは3年以上も、ごくわずかな増悪のみで経過した。
Tedoneの財団は”Winning the Fight”と呼ばれ、南フロリダ大学における研究に出資している。動物のモデルマウスを用い、Deanna’s protocolとケトン食とコントロールとを比較する研究である。この研究はすでによい結果が報告されている。(Ari, 2014)。Deanna’s protocolについての情報は、www.winningthefight.net.