下垂体前葉機能低下症について

日本内科学会雑誌 2026年4月号より

①副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) 副腎皮質からのコルチゾール分泌の低下により、易疲労感・脱力感、食欲低下、体重減少、嘔気・嘔吐などの消化器症状血圧低下、精神障害、発熱、低血糖、関節痛などをきたす。女性では副腎皮質アンドロゲンなどの低下により腋毛、陰毛の脱落もみられる。感染・外傷などのストレスの合併により副腎クリーゼを生じ得る。ACTH分泌のみ障害されているIADでは、ACTHの著明な欠乏により続発性副腎不全症を呈する。IADは成人発症が多く、慢性甲状腺炎などの自己免疫疾患や抗下垂体抗体の併存から自己免疫機序が想定されている。

②甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌低下症

甲状腺ホルモン分泌の低下により、耐寒性の低下、倦怠感や不活発、徐脈、皮膚の感想、腋毛、浮腫、便秘などがみられる。小児期では発育障害を生じる。

③ゴナドトロピン分泌低下症

性ホルモン分泌の低下により、男性では性欲低下、勃起障害、男性不妊・精巣萎縮・続発月経などの月経異常、排卵障害や不妊、乳房萎縮がみられる。若年例では二次性徴の欠如や停止がみられる。

④成長ホルモン分泌不全症

易疲労感・スタミナ低下、集中力低下・うつ状態などの自覚症状および健康観や生活の質の低下を認める。身体所見として、皮膚の乾燥と菲薄化、体毛の柔軟化、内臓脂肪の増加、ウエスト/ヒップ比の増加、筋力低下を認める。

⑤プロラクチン分泌低下
女性における産褥期の乳汁分泌低下を生じる。