CAR-T療法
日本医師会雑誌 第152巻 特別号(1)より
これを克服するために、抗体を使って細胞表面分子を認識し、同時にT細胞の活性化シグナルを送達できる人工受容体としてキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)導入T細胞療法が開発された。
遺伝子改変T細胞療法の最大の特徴は、T細胞という生きた細胞を薬として用いる点である。T細胞は適切な生存シグナルを継続して受けられれば数年単位で生存する能力を有しており、このため理論的には1回の輸注で癌細胞が消失するまで増殖を続け、治癒に導くことができる。この点で短期の奏効率だけでなく、長期的な治療成績に関するデータに目を向ける事が重要である。