認知エラーを引き起こす認知バイアス
月間保団連 2022年9月号より
徳田安春先生の記事より
表1 診断エラーにつながるシステム要因の具体例
・外来の混雑
・時間的プレッシャー
・人手不足
・雑音が多い
・意思決定の頻度が多い
・仕事量が多い
・複数のシステムが複雑に関係する
・タスクでの中途の割り込みが多い
・時間の制約がある
・身体的および感情的なストレスが多い
・不確実性が高い
コメント:自分の診断エラーも上記そのまま、あるいは組み合わせだったと思う。焦ると最悪の結果になる。
表3 臨床現場でよくあるバイアス
Anchoring bias →最初に考えた仮説に固執する
Availability bias → よく診る疾患を想起しやすい
Overconfidence bias →前医や指導医の診断に盲目的に従う
Confirmation bias →事故の仮説に適合しない所見は無視する
Hassle bias → 疲労時には楽に処理できる仮説に飛びつく
Rule bias → ルールを過信する
コメント:困った時は、自分以外のドクターに頼む、はいつも有効。(頼めない状況はやばい。)はずかしいのは、患者を殺すよりまし。
表4 認知バイアスが起こりやすい場面
・疲労
・睡眠不足
・タスクが許容量オーバー
感情の問題
・患者に対する陰性感情
診察フローの問題
・診察時に別件対応が入る
・引継ぎ患者
・仮の診断名が確定診断名とされる
コメント:陰性感情はやっかい。大失敗の原因になり得る。引継ぎ患者は、前医の責任にして、考えるのをさぼりたくなるのが原因。病院時代は、別件対応が入りまくって頭がパンクしていた。
HALT法とは?
Hungry 空腹
Angry 怒り
Late 遅延
tired 疲労
HALT・・・・決断を一時的に止める
表6 感情コントロール法
・自己の陰性感情に気づく
・陰性感情では黙って話を聴くことに徹する
・対話の中で同意できることは同意する
・感情を言語化する
・同僚と共有する
コメント:(悪口ではなく)どんな人物なのか、スタッフの意見を聴くのがいい。
「もしかしたらこの患者は、別の病院に肺炎で入院しているかもしれない」と不安になったときは、ぜひ、患者に電話をすることだ。私の経験上、医師が電話して怒る患者はほとんどいない。その患者の結果が”Unfavorable”だったとしても、「心配して電話をしました。肺炎でお薬を持たせて返しましたが気になってお電話しました。お元気ですか?」などと聞くだけで、ご家族は非常に感謝してくれる。結果が”favorable”で、「おかげさまで、とても元気に過ごしています」という答えが得られれば、それは素晴らしいことである。これは患者とのパートナーシップによる診断力アップである。
コメント:電話!!、大事ですね。開業医は電話する医師が多いのでは。
救急外来などの診断では、診断を振り返るために立ち止まる、マインドフルネスを応用した「診断タイムアウト」を活用するのもよい。タイムアウトの最中にメタ認知を作動させ、次のことを考える。すなわち、広い視点を有した診療を行ったか、ヒューリスティックに本質的な欠陥がある事を認識していたか、自分の判断はバイアスの影響をうけたのではないか、最終診断を今すぐ決める必要があるだろうか、最悪のシナリオは何か、「見逃してはいけないもの」は何か、などである。診断タイムアウトは、自分が大きな判断を下す際に活用するのがよいと思われる。
コメント:「診断タイムアウト」という言葉を初めてきいた。
週1回でよいので、過去1週間自分が救急・初診外来で診た患者がその後どうなったか、カルテを見直してみて、その後のアウトカムを検証してみるとよい。これはある程度習慣にすると効果的だ。
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