40年の法則
新しい発見や考え方は、医学にかかわらず長い長い時間をかけながら常識となっていくようです。
(もしそれが妥当な考えであれば。)適当でない、誤った考えなら、あっという間に消えていくのでしょう。
前進したり後退したり、同じようなことを繰り返しながら・・・。
古い権威がいなくなるごとに・・・。
固定観念に支配された人々がいなくなるにしたがって・・・。
以下引用
何年か前、読書中だったホッファー博士は奇妙な歴史的現象に気づいた。医学の分野で何か新しい発見があると、それが受け入れられるようになるまでに少なくとも40年かかっており、今となっては古典といえるほどの理論でも、発見されてから世間に受け入れられるまでには、例外なく同じくらいの時間がかかっているのだった。1世代の現役活動年数を20年とすると、これはまるまる2世代に相当する。しかしながら、新たな方法論が実際に普及するまでにはさらに長時間を要するのが常である。
たとえば、柑橘類が壊血病を予防することを発見したジェームス・リンドの論文は、1753年に出版された。1794年にリンドは亡くなったが、その発見が認められ、英国海軍が戦艦にライムジュースやライムを積んで航行するようになったのは、さらに40年もたった1830年代のことだった。それまでの間に壊血病で死亡した人数は年間4000-5000人にのぼり、柑橘類の有効性が認められるまでの80年間に32万-40万人の英国海軍兵士が、壊血病が原因で死亡している。
彼らは、予防法や治療法の解明が間に合わずに死亡したのではなかった。予防法や治療法はすでに解明されていたにもかかわらず、封建的な医学会がこの治療法を認めなかったために命を落とさなければならなかったのである。