医師同士の争いの原因・・・こんなときオスラーより

私が観察したところ、医師同士の争いの主な原因は3つある。1つは、適切な友好関係を欠いているからである。つきあいがあって初めて、互いに知り合いになれるのだ。年上の医師は、その近所で診療を始めた年下の医師をライバル視せずに、息子として受け入れるべきである。かつて開業したての若い頃、皆さんが年配の開業医にしたと同じことが起こるかもしれな。つまり、年下の医師は皆さんの患者を多数奪うことになるかもしれないが、皆さんのほうでそれは避けられない、やむを得ない、これが世間の通例なのだと悟るならば、しかも最初に起こった微妙な行き違いを友好的な態度で話し合うだけの度量を持ち合わせているならば、障害はなくなり、二度と同じような事態を迎えずにすむことであろう。半面、若い医師のほうも年配の医師の気持ちを十分に酌み、その判断に敬意を表し、相談に乗ってもらう態度をとるべきである。若い卒業生をもっと頻繁に助手やパートナーとして迎えることができるならば、診療の仕事ははるかに荷の軽いものとなり、互いの友好関係が増すものと思われる。医者の風上にもおけないという悪評を受けている医師や、悪影響を及ぼす者の見本と思われている医師も、本当は善良な人間であり、つまらない嫉妬の犠牲者であって、対立派の攻撃の的にされたにすぎないかもしれない。付き合ってみると、彼は愛妻家で子煩悩であり、さらに彼に心を寄せ尊敬する人達がいることが判明するかもしれない。要は心の持ち方次第であり、それが協調を図るためのなによりも重要な要素である。ある人が賞賛を受けた場合、あるいは若い人が皆さんの専門分野で何らかの業績をあげたときには、感謝の念を表していただきたい。それは互いの利益のためである。嫉妬を魂の痛みと呼んだのはプラトンだが、健全な人生観をもった高潔な天性の持ち主は、瞬時たりともそのような嫉妬心に襲われるようなことがあってはならない。ライバル校で教えるものは務めて互いの交友を図り、学生や若い教師が親しく交わるよう推奨すべきである。医師になったばかりの若い人が何か失敗をしたとか、ちょっと「変だ」ということを耳にしたら、さっそく彼のところに行って一言親切な言葉をかけてやっていただきたい。あるいは彼のために弁護してやっていただきたい。それこそ彼にとって唯一の治療法であり、他の療法は病気をますます悪化させるだけである。

 

東京では開業医の医師会加入率が50%くらいに下がっているそうです。

広島ではまだほとんどの開業医が医師会へ所属しています。

医師同士に限らず、「社交」「懇親」は、実はとても大切だと思います。

「自身の無知」に気づき、「他人の深い見識」に触れるチャンスなので。

 

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