問診と診察で、診断をかぎわける

さる11月6日中西内科 中西重清先生のご講演でした。
 実際の診療場面の動画を見ながらという、画期的なものでした。
 症例提示の方法としてこれ以上のものはありません。患者さんの見た目、様子、会話、歩行、検査手技、ヒストリー、医師の思考過程までが見えてきます。見立て違いの症例までだされるところもすごいです。
 
症例1 73歳男性 2-3週間前から手の振るえがある。
指をみると、バチ状指。 ・・・・この方は喫煙者でCOPDがあるので、バチ状指にはならないはずである。すなわち、肺がんを発症していることがわかる。
 ドクターティアニーのパール No6

症例2 71歳男性
 左手首と両膝の腫れ・・・朝1時間ほど手が動かしにくい・・・・関節リウマチ
 
症例3 73歳男性 一ヶ月前から、右手の力がはいらない。
 時を書くと字が乱れてかけなくなる。右の握力低下。・・・早期のALSだった。ALSは手から始まることが多い。

症例4 64歳男性 妹と来院 2ヶ月前から体の動きが悪い。 1年前から外出できず、ずっと家にいる。
 手をぱっと開くことができない。・・・・筋強直性ジストロフィー、家族歴がある。筋肉の痙攣。顔。

症例5 43歳女性 4日前からみぞおちが痛い。嘔吐もあった。
 フェリーに乗ろうと宮島口でまっていたときに急に発症。県外の友人に、一人で宮島を回ってもらい、休んでいた。
この病歴は、まずい。これを聞いただけで、中核病院へ搬送するべきである。 嘔吐はまずいサイン。・・・上腸間膜動脈解離。

症例6 72歳男性 午後から汗が止まらない。頭は痛くない。
 朝から、頚が寝違えたようで痛かった。左の耳鳴りが悪化している。 バイタル正常、めったに医者には行かない人・・・・椎骨脳低動脈解離 延髄外側脳梗塞 脳梗塞はすぐに画像に現れない事がある。 めったに病院に行かない人がきたら、本物の病気を疑う。

症例7 41歳男性 1時間前から心下部痛
 きりきりする。しめつけるような痛みで、ずっと痛い。腹筋がいつもあがるのに、上がらない。・・・・潰瘍穿孔
 腹筋の症状は、穿孔により腹膜炎があったためと考えられる。

症例8 56歳男性 5-6年前から手が震える。10年前から手が震えていると思う。前医では本体性シンセンの治療・・・・歩行の映像。 歩行で右手のふるえ。パーキンソンは気を抜いたらふるえる。N字型の進行。すなわち片側疾患。

トピックス
 薬剤性浮腫・・・NSAIDs、カルシウムブロッカー(歯肉もはれる)、甘草
 薬疹・・・水泡でもなんでもありうる。
 こまったら・・・「あなたは、病気と思う?」と聞く
 紹介状には、自分の考え(病名、送る理由)をちゃんと書くこと。それが、自分を鍛えることになる。
 分からないとき・・・「器質的疾患は想定できません」「ですが、心配なので見てください」などなど
 呼吸困難は、絶対に病気