中性脂肪は冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の独立した危険因子である

糖質制限をすると、中性脂肪がどんどん下がるのは、経験者ならご存知だと思います。

中性脂肪が高い人は、それだけで、通常人より冠動脈疾患になりやすいことが示されています。

高中性脂肪血症の治療意義を考える。メディカルトリビューン 2018年8月2日 特別企画より引用

山下 静也先生(りんくう総合医療センター病院長/大阪大学医学系研究科 特任教授)

磯先生らが実施したコホート研究CIRCSでは、冠動脈疾患の既往のない40-69歳の住民11,068人(男性4452人、女性6616人)を平均15.5年間追跡した結果、TG168mg/dL 以上の群における冠動脈疾患発症の相対リスクは、TG84mg/dL未満の群の2.86倍であることが示されました

Iso H. et al.; Am J Epidemiol. 2001;153(5):490-499

海外からは、欧米における17のコホート研究のメタ解析により、TG高値がHDL-Cとは独立した冠動脈疾患の危険因子となることが示されています。最近では、空腹時TG高値は急性冠症候群後の短期(16週)および長期(約3年)の心血管イベント再発リスクを上昇させることや、非空腹時TG値の増加に伴い、心筋梗塞や虚血性心疾患、虚血性脳卒中、全死亡のリスクも上昇させることが報告されています。したがって、高TG血症が冠動脈弛緩の危険因子であるという認識のもと、適切な介入について検討していく必要があります

Hokanson JE. et al.:J Cardiovasc Risk. 1996;3(2):213-219
SChwartz GG. et al.:J Am Coll Cardiol. 2015;65(21):2267-2275
Nordestgasard BG. et al,:Lancet. 2014;384(9943):626-635.