西郷先生の漢詩

天意を識る <西郷 南洲>

一貫す唯々の諾

従来 鉄石の肝

貧居 傑士を生じ

勲業 多難に顕る

雪に耐えて 梅花麗しく

霜を経て 楓葉丹し

如し能く 天意を識らば

豈敢えて 自ら 安きを謀らんや

 

意訳(日本の偉人物語3 岡田幹彦著より)

(国のため世のためにつくす自分の鉄石のごとき意思と信念は、終始一貫不動である。貧しい家からすぐれた人物が生まれ、困難・逆境・試練を乗り越えて立派な仕事が達成される。梅の花は百花のさきがけとして、厳冬の雪の中に香り高くにおう。秋の楓は下がおりてから鮮やかに紅葉する。梅の花や楓も困難・試練を経て美しく花開きあるいは紅葉する。人間もまた同じだ。艱難辛苦・逆境・試練こそ人間を鍛えに鍛え磨き上げるのだ。人間の命の本源である天あるいは神の心を知るならば、どうして安易に怠惰な生き方ができようか。)