日本紅斑熱の発見
日本医師会雑誌 2023年7月号より引用
馬原文彦先生(馬原医院 理事長)が徳島県で開業されて間もないころ、発熱を訴えて次々に受診する患者さんに、よく似た発疹が出ていることがありました。リケッチア症をあまりいしきしていない中で、鑑別診断の1つとしてワイル・フェリックス反応というのがあったなということで検査したところ、その症例はOX2が陽性でした。つつが虫病ならOXKが陽性になるはずなのに、OXKではないものが陽性だったということで教科書をひも解くと、それは紅斑熱に特異的な反応なのですが、当時日本には紅斑熱は存在しないと教科書に書かれていました。そこで先生は、これはつつが虫病ではなくて紅斑熱に近いものではないかと考えて、新しい感染症の発見につながったという経緯があります。
現在は感度の問題でワイル・フェリックス反応はほとんど使われていないと思いますが、そのような古典的な検査が新興感染症の発見につながったということで、大事な検査だったということを、学生にはいつも教えています。