骨吸収抑制剤のデメリット

月刊保団連 2025年2月号より 永井 隆士 先生

骨吸収抑制作用を持つ薬剤に関してはいくつかデメリットが報告されている。代表的なものは「腎機能低下」「急性期反応」「非定型大腿骨骨折」「オーバーシュート」「顎骨壊死」である。

ビスホスホネート(窒素含有)は、腎機能が正常の患者と比較して高度な腎機能障害患者(eGFRが30ml未満)では、低カルシウム血症(補正カルシウム値が8㎎㎗未満)のリスクが増加したとの報告がある。

一般的にはビスホスホネート製剤は腎機能に注意する必要がある薬剤と理解しておいた方が無難である。我々の報告では、ビスホスホネート製剤の中でもイバンドロネート(ボンビバ)は腎機能への影響は少なかった。これは水への溶けやすさとタンパク結合率の違いが影響している可能性が考えられた。エルデカルシトール製剤は、高カルシウム血症と腎機能障害のリスクがあるため、定期的に腎機能や血清カルシウム濃度を測定したほうがよい。

急性期反応

ビスホスホネートは、メバロン酸がIPPになり、そこからGPP, FPPに移行する部分をブロックする。その結果IPPが蓄積されることになる。IPPはTNF-αやIL-6などのような炎症物質を合成するため体内に炎症を来すことになる。臨床症状としては、急激な38℃以上の発熱、関節痛、倦怠感などがあり、インフルエンザに罹患した場合と同じような症状を呈するため「インフルエンザ様症状」などと表現されることもある。早い人では、服用したその日の夕方から症状が見られることがあり、インフォームドコンセントをきちんとしておかないとトラブルになることもある。