ホルモン補充療法について

ドクターサロン 2024年6月号より
動脈硬化性疾患の予防を考える 女性への対応より

①エストロゲンがインスリンの感受性と非常に関係するということがわかっていて、エストロゲンが低下するとインスリン抵抗性のほうに傾くこともわかっています。

②更年期以降の女性には更年期障害を訴える方が多いですね。顔がほてる、汗をかく、ドキドキする、関節が痛いなどいろいろな症状があります。更年期障害に対してホルモン補充療法という治療があるのですが、これはかなり効果的です。

③ホルモン補充療法の方法として、子宮を子宮筋腫などで摘出している女性はエストロゲン単独でいいのですが、子宮のある女性はエストロゲンと黄体ホルモンという2種類のホルモンで施行する必要があります。ホルモン補充療法の一番大きな副作用は乳癌リスクが高くなることです。アメリカの臨床試験ではHRTを5年間以上施行すると、乳癌の相対リスクは2倍以上増加することが報告されています。しかし、実際には1年間に1万人あたり8人増えるということですから、、絶対リスクはそんなに高くはないこともわかっています。

④ エストロゲンを内服しますと、エストロゲンの量や強さに比例して血栓症は増加します。ただし、エストロゲンには貼り薬があり、貼り薬の場合は血栓症のリスクがないこともわかっています。