ドクター江部の糖質オフ!健康ライフより・・・「ケトン食とがん」

2020年5月に、国際科学雑誌 Nutrients 誌上で、進行性がん患者に対する新しいケトン食療法の有望な結果が発表されました。

「癌ケトン食治療コンソーシアム」研究成果 進行性がん患者で新しいケトン食療法による有望な結果~国際科学雑誌Nutrientsで発表~

大阪大学を中心とした「癌ケトン食治療コンソーシアム」の研究成果です。

以下、概要です。

「癌治療に有効なケトン食療法を開発し、様々な癌腫の患者(ステージIV)を対象に症例研究を実施。

研究に参加した55人の患者のうち、3か月間ケトン食療法を実施した37人の患者のデータを分析したものです。

PET-CTの診断の結果、開始3か月の時点で5名の患者が部分奏効を示した。

開始1年後には、3人の患者が完全奏効し、7人の患者が部分奏効した。

生存期間の中央値は32.2(最大:80.1)か月で、3年生存率は44.5%。

生存期間中央値とは、その集団において50%の患者さんが亡くなるまでの期間を示します。

また、ケトン食療法の開始3か月後における、血清Alb値、血糖値、CRPによる評点(ABCスコア)を使用して、患者を層別化すると生存率が有意に異なることが明らかになった。

今回の結果から、大阪大学で開発したケトン食療法は、様々な種類の進行がん患者に対して、有望な支持療法になる可能性が示された」。

代表研究者の大阪大学 萩原圭祐先生は、私の漢方関係の古くからの知り合いです。

「ケトン食とがん」、萩原先生により、このように素晴らしい発展をとげたことは嬉しい限りです。

癌腫の患者(ステージIV)55人の患者のうち、3か月間ケトン食療法を実施した37人の患者のデータを分析した結果、開始1年後には、3人の患者が完全奏効し、7人の患者が部分奏効です。

研究参加者は全て癌腫ステージⅣの患者さんなので、素晴らしい成果と思います。

実は、「ケトン食とがん」に関する研究は、当初、私が萩原先生にお願いして、2013年2月から阪大で開始されたものが、最初です。

非小細胞肺がんⅣ期の患者さんに絞って、研究がなされました。

非小細胞肺がんⅣ期の場合、極めて予後不良なので、ケトン食が有効なら、結果がでやすいと考え、対象を絞ったのです。

2015年10月29日から31日に京都(国立京都国際会館)で行われた第53回日本癌治療学会学術州会において、29日木曜日に、「肺癌患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討」と題して、萩原教授らの発表がありました。

研究に参加された5症例いずれも、ケトン食同意のインフォームド・コンセント時は、肺腺癌Ⅳ期でした。

以下は、2013年2月から研究開始で、2015年10月29日の癌学会での発表時点でのデータです。

肺がんⅣ期の症例で、ケトン食を導入して症例1と症例4は、1年後に寛解して、その後も経過良好で、それぞれ974日間生存中、617日間生存中で、ケトン食を継続中です。

症例3は、がん胸膜播種がありますが、792日後も生存で、ケトン食継続中です。

症例2と症例5はケトン食を継続せずにいずれも死亡されています。

症例が少ないので、断定的なことは言えませんが、2例は寛解(がんが消えること)して、Ⅳ期と診断後974日間、617日間の比較的長期の生存ですから、ケトン食には肺癌Ⅳ期の患者さんに対して、一定の延命効果がある可能性が示されたと思います。

Ⅳ期肺癌の生存中央値が、8-10ヶ月ですので、ケトン食継続中の3名の、32ヶ月、26ヶ月、20ヶ月というのは、なかなかの数字と思います。

上述のように、ケトン体はがんに対しても、一定の効果が期待できるようです。

がんに対する効果以外にもケトン体の一種であるBHBは心不全患者の心機能を改善し、認知機能を向上させることが、ヒトを対象とした小規模な臨床試験で実証されています。

実験室での実験では、BHBは2型糖尿病に対する効果が期待でき、有害な炎症を抑制することが示されています。

血中ケトン体の上昇は、重度の呼吸器感染症で発生する低酸素関連の組織損傷に対して広く保護することが示されています。

ケトン体高値により、心臓・腎臓・脳保護作用が期待できます。

ケトン体、これからもいろんな人体に有用な作用が、研究され証明されていくと思います。