ドクター江部の糖質オフ健康ライフより・・・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

私の診させていただいている患者さんにも、この病気の方がおられます。とても参考になります!!

 

報告】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4年前に糖尿病が発覚し、糖質制限を始めました。

当時のHbA1cは14%、今は5.6%前後、GAは12.2%で、インスリンも薬も中止しています。

発覚当時に膵嚢胞が見つかっていたのですが、癌化しやすいとのことで先日検査したところ、担当の先生が「見たことも聞いたことも無いが、以前より小さくなっている」ととても驚いていました。

手術しなくてもいいそうです。これも糖質制限のおかげかなと思っています。

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インスリンも薬も中止して、今や、HbA1cもGAも基準値内ですね。素晴らしいです。

4年前に膵嚢胞が見つかったときに、癌化しやすいと主治医に説明されていますので、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) であった可能性が高いです。

膵臓のβ細胞から分泌されているインスリンというのは、なかなかのくせ者で、ないとヒトは生存できませんが、過剰だとがん、老化、動脈硬化、アルツハイマー病などのリスクとなります。

インスリンそのものが細胞成長促進作用があるので、がん化のリスクにもなると思われます。

この方の場合は、糖質制限食実践により、細胞成長促進作用のあるインスリンが必要最小限の分泌量ですんだと思われ、それにより、膵嚢胞が小さくなったと考えられます。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) は、悪性化しやすいので要注意なのですが、このケースでは小さくなっていますので、悪性化の可能性が現時点でほぼないと言えます。

それは主治医もびっくりされたことでしょう。

とても良い成果ですね。

以下、東京医科歯科大学肝胆膵外科のサイトから一部引用です。

1.「膵のう胞」と「IPMN」とは?

膵嚢胞(すいのうほう)とは、膵臓の内部や周囲にできる様々な大きさの「袋」のことで、症状はなくCTやMRI検査などにより偶然発見されることの多い病気です。

急性膵炎や慢性膵炎に伴ってできる嚢胞はもちろん良性疾患となりますが、一方で、炎症とは関連のない「腫瘍性膵のう胞」というものがあります。

膵臓で作られた膵液を十二指腸へと流す膵管の粘膜に「粘液を作る腫瘍細胞」ができ、この粘液が膵内にたまって袋状に見えるものが「腫瘍性膵のう胞」となります。

従って、まず炎症によりできた「炎症性のう胞」と腫瘍により分泌された粘液がたまった「腫瘍性膵のう胞」とを区別することがとても大切です。

以前は「粘液産生性膵腫瘍」などとも呼ばれていましたが、現在では、少し難しい名称ですが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)などに分類されています。

頻度はIPMNが圧倒的に多いです。

IPMNでは、良性の段階(過形成や腺種と呼びます)から悪性の段階(通常型の膵癌)まで様々な段階があり、良性から悪性へと変化していくことが知られています。