SARS-CoV-2mRNAワクチン接種後に再燃し、治療に難渋した免疫性血小板減少症

日本内科学会雑誌 2023年7月号より

長谷場ら(王子総合病院血液内科) 引用

症例は70歳台男性。10年前に免疫性血小板減少症(ITP)を発症し維持療法を受けている。SARS-CoV-2mRNAワクチン接種3日後に血小板数は1000/μlに減少し、出血症状を呈した。治療開始後もさらに好中球減少も出現するなど難治性であった。維持療法中あるいは過去に治療歴がある場合、ワクチン接種後のITP再発頻度が高いと言われている。接種の際には事前の患者指導や接種後の血球数確認が重要である。

 

一方でkuterらはITPの維持療法中、あるいは既往を有する場合に限ると発症率は10%以上と高頻度である事を報告している。またLEEらはITP再燃症例117例を解析しその特徴を検討している。それによると発症時の年齢中央値は62.5歳で女性が多い傾向にある。発症までの日数は初回投与後が6日、2回目投与後が5日と差はない。しかし血小板数が1万以下となる高度減少例は初回が8.8%であるのに比較して2回目では23.8%と多い傾向にある。また血小板減少をきたす危険因子として、1)脾摘後 2)5回以上の治療歴を挙げている。

 コメント:117例も再燃例が報告されていることにまず驚いた。世界中ではどれだけの人数になるだろうか。
 新薬の世界的大実験とは、こういうものなのだろう。