低血糖状態で、頭が鈍くなる・・・日本臨床内科学会雑誌より

2020年6月号より

低血糖がらみ 島 健二先生 (社会医療法人 川島病院)

以下引用 軽症低血糖は一般に無症状かあっても軽微で、注意がはらわれず、見落とされがちになる。高齢者では低血糖の頻度も高く、症状を自覚しがたい傾向のため、等閑視されがちであるが、時にQOLを損なう結果になることがある。それに関し、重大自動車事故、朝食欠食の学業成績、ゴルフ中の突然の錯乱などの事例において軽症低血糖が関与している可能性について論じた。

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軽症低血糖の定義は50-70mg

被験者 島先生ご自身(健常老人とのこと)

方法 ①第一回6時間OGTT(ブドウ糖負荷試験) 認知機能検査として小学生4年生程度向けの四則演算150問の解答速度、および正確性を測定する。6時間後にどら焼き2個(糖質51.1g)を食し、30分後、1時間後に再検査を行う。
②第二回6時間OGTT(ブドウ糖負荷試験)運動適性試験①単純反応(点灯する赤信号に対し右足をアクセルペダルから離し、ブレーキペダルを踏み、直ちにアクセルペダルに戻し、これに要する時間、7回平均秒)②選択反応(赤、黄、青のそれぞれの信号に応じ、それぞれ、アクセル→ブレーキ→アクセル、アクセル→アクセル、アクセルを踏み続けるのに要した時間、20回平均秒)③総合判定

結果 試験①4時間後の最低血糖値65㎎の時点で、計算時間が1分20秒ほど伸びている。4時間半の時点で計算の誤りが3回と最大。どら焼きで改善
試験②低血糖となった5時間後には総合評価が4から2まで低下している。どら焼きで改善。

コメント:自覚症状は特になかったとのこと。著者は高齢者の運転事故について軽症低血糖の関与を疑っている。すばらしい実験だと思う。