マグネシウムおよび亜鉛不足について 日本内科学会雑誌より

2020年4月号 無機質と内分泌疾患 高橋克敏ら より

人口高齢化・慢性疾患の増加・薬剤使用等により、近年、低マグネシウム血症や亜鉛欠乏症の患者が増えている。しかし、血清マグネシウムや血清亜鉛は日常検査項目でなく、欠乏症症も非特異的である。このため、臨床経過からこれらの欠乏を疑うことがもっとも重要である。低カルシウム血症、利尿薬、PPIの長期投与、抗癌薬の一部、慢性下痢、アルコール依存者ならびに心室性不整脈では、低マグネシウム血症を疑う。味覚障害、高齢者、低栄養、褥瘡ならびに血清ALP低値では、亜鉛欠乏症を疑う。

メモ
①細胞外液中のマグネシウムは体内全体の1%以下しかない。血清マグネシウムは日常検査項目に入っていない。
②低マグネシウム血症は、入院患者の11%、ICU患者の最大60%にみられる。
③心電図では、QRS開大、QT延長ならびにT波異常。重症では心室性不整脈やトルサドポアン
アルコール依存症では20-25%が低マグネシウム血症となる
糖尿病では、高血糖による浸透圧利尿から低マグネシウム血症となりやすい。
⑥シスプラチン等の腎毒性薬剤でも低マグネシウム血症となる。
⑦亜鉛欠乏の臨床症状・・・皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡、食欲低下、発育障害、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊

コメント:日本人のほとんどは、マグネシウム、亜鉛、ビタミンD不足があると思う。不足しているものと考えて対応したほうがよいと思う。