日本医師会雑誌 糖尿病食事療法について
日本医師会雑誌 第150巻特別号(2) 内分泌疾患・糖尿病・代謝疾患 ー診療のエッセンス より
(1)糖尿病の食事療法
①理想的な栄養素バランスについては定まった見解はない(個別化)
②食べる順番、スピード、朝食の摂取は重要である(食習慣)
③食物繊維は1日20g以上の摂取を目指す
④高齢者ではおかずをしっかりたべてもらう(サルコペニア予防)
⑤肥満のある症例では現体重から5%減量することを目標とする
⑥アプリや動画を用いた指導も有用である
コメント:①は重要な指摘だと思う。糖質制限を容認しているとも受け取れる。以下の記述がある。
栄養素バランスの設定は柔軟性をもって対応することが可能である。2013年に発表された日本糖尿病学会の食事療法に関する提言では、炭水化物50-65%(総エネルギーに占める割合:以下同様)、タンパク質20%以下として、残りは脂質とすることが示されていたが、これを一定の目安にして個別化を図るという考え方でよい。
(2)糖尿病性腎臓病
以下引用
食事療法として、腎機能障害を有する患者においては蛋白制限は尿毒症の症状を抑えるために推奨されるが、蛋白制限が腎障害の進行自体を抑制するという臨床的エビデンスはない。腎症第3期には0.8-1.0g/㎏/日、腎症第4期には尿毒症症状の抑制のためにさらに厳格な0.6-0.8g/㎏/日の蛋白制限をする。ただし画一的な制限は不適切であり、高齢者では食欲が低下してフレイルやサルコペニアを悪化させないように留意する。個々の患者の病態やリスク、アドヒアランスなどを総合的に判断して検討することが望ましい。
コメント:アメリカ糖尿病学会の考えが取り入れられ、変化が感じられる。尿毒症の状態を見ながらタンパク質量をコントロールする、とも読める。
(3)妊娠糖尿病
以下引用
妊娠中は、単に母胎の血糖正常化を目指すだけではなく、胎児が健全に発育するために必要なエネルギー、栄養素を摂取しなければならないという点にも留意し、極端な食事療法や糖質制限は避けるべきである。
コメント:これは、必ずインスリンを使え、といっているのと同じ。
一方で、鉄をはじめとした妊娠中の栄養失調は放置されている。日本に栄養学がないのがよくわかる文章。
(4)糖尿病とスティグマ
糖尿病患者に対する不当な扱い、排除が存在するという認識。
「糖尿病は年寄で太っている人の病気だ」「糖尿病は恐ろしい病気だ」「糖尿病の人は仕事の能率が悪い」「糖尿病の人は自分の病気に責任がある」「医療システムの重荷になっている」など。2型糖尿病について「怠惰(運動しない)」「太り過ぎだ」「自ら糖尿病を招いたのだ」
低血糖症状の誤解(泥酔等)
「やるべきことができない人間である」「意思の弱い人間である」「欠陥がある」
コメント:ひどいですね。糖質制限があれば、戦えると思う。