統計にだまされる。メガスタディ(メバロチンによる女性の虚血性心疾患一次予防)の問題点
2013年6月26日 再掲
コレステロール論争についての3回目です。
前項でメガスタディの問題点について紹介しました。上記の書籍(医学統計ライブスタイル)では、医学論文統計の基本的な読み方が紹介されています。基本的ですが良書だと思います。その中で、繰り返しメガスタディがとりあげられています。それだけ問題点が多いということでしょう。ちなみに最近「捏造」が発覚したJIKEI HEART STUDY も厳しく批判されています。(この本は2009年初版です)
まず、曲線が途中5年目あたりから急に様相が変わっている・・・かな。食事療法+プラバスタチン群の変化がほとんどなくなって、一方で両群の階段の変化量が極端に大きくなっています。5年目を境にすると、明らかに違いますよね。
これはおそらく、5年を境に症例数が大きく減っているからですね。対象症例数を見ると5年までのフォローアップ数が、突然6年で約1/3に急減してますね。
5年ではっきりした優位差がでなかったので、無理やり延長したのでしょう。さらにどうみてもプラバスタチン群のグラフがフラットすぎで、小学生が見ても「ずるしてる」というでしょう。
もう一点は、NNTが119である点です。これは、6年間119人のヒトがプラバスタチンを飲み続けて、やっと1人心臓病が防げるという意味です。(一次エンドポイントに狭心症が含まれており、この判断は医師の主観にゆだねられる。この試験は、薬を飲んでいるかどうか医師にわかってしまう試験である。いわゆる二重盲検定試験ではない。本来は客観的な指標である心筋梗塞で死亡した人数で比べるべきであるが、それでは有意差がでない。)
グラフの縦軸を正確に書くと上の図になります。ちなみに浜崎先生の講演によると、この食事療法とは、マーガリンを勧めて、魚の脂を控えるという指導だったそうです。(わざと危険な食事療法をさせたのでしょうか???)