厳しく炭水化物制限をするほど総死亡は増える?癌死亡が増える??Fung教授の論文
患者さんが、ローカーボドクターの本を読まれてご相談がありました。(上記参照)
根拠は、2010年のハーバード大学の論文(Teresa Fung教授の論文)で、糖質制限を開始した時期に(2012年頃)に原著論文を読んだのを思い出します。
Fung教授と見た瞬間に、「ああ、あの論文か」と思いました。
以下 江部康二著 「糖質制限食パーフェクトガイド」より引用
高蛋白との関連ではなく、糖質制限の程度によるリスクを指摘されることがあり、厳しく糖質制限食を行うと発がんのリスクが上昇すると主張している人もいます。しかし、根拠としている研究の内容を誤解しています。
2010年に「アナルス・インターナル・メディスン」に発表された論文があります。ハーバード大学の研究者によるコホート研究で、助成85,000人を26年間、男性45,000人を20年間追跡し、高糖質食と低糖質食で総死亡率を比較しています。
その結果、高糖質食のグループに比べて低糖質食のグループのほうが心血管死もがんによる死亡も有意に増えたとしています。この研究を根拠に、糖質制限食を厳しくするとがんの死亡率が上昇すると主張しているのですが、これは研究の内容を誤読しています。
研究では低糖質グループの総カロリーにおける糖質割合は35.2-37.4%であり、糖質制限とはいえない範囲です。例えば総摂取カロリーを2000キロカロリー/日と低めに設定しても、糖質摂取量が130グラム以内という米国糖尿病学会(ADA)やバーンスタイン医師の定義に当てはめれば、26%以内となりますから、この研究の低糖質グループは糖質制限食ではないことになり、せいぜい中糖質です。アメリカ人の平均的な食生活では一日に3000キロカロリー以上は摂取していますので、糖質制限食といえるのは糖質摂取割合が17.3%以下の場合となります。
しかも、がん死亡が増えたのは、動物性食品の摂取が多い人だけであり、植物性食品の摂取の多い人では低糖質グループほど心血管死が減少しており、がん死亡に対するリスクの上昇も見られていません。
こちらはカルピンチョ先生のブログ。
ダブルパテのハンバーガーなら30%前後の糖質量ですから、 これに加えて炭酸清涼飲料水のSサイズを飲めば、能登先生が言うところの糖質制限食になります。