ディアナ・プロトコールについて
能力不足で7-8割の訳ですが参考までに。
このカンファレンスへご招待いただき、ディアナプロトコールを紹介させていただけることについて、関係者に感謝申し上げます。
2007年の終わりごろ、30歳になる娘は病気を発症しました。2009年に孤発性のクラシカルフォームのALSを診断されました。(上位運動ニューロン、下位運動ニューロン、球麻痺症状のある) この病気はよく知られているように、大変予後不良でよい治療もありません。
私は引退した小児外科医です。娘の未来を従来の常識どおり(多くの神経内科専門医が考えるよう)に受け入れることはできず、自分で研究を始めることにしました。私が学んだことは、多くのこの道の専門家が以下のことを共通認識としているということでした。
1.神経細胞細胞がエネルギー不足に陥っている。
2.神経細胞が死滅していく。
3.グルタミン酸が集積している。
研究者らは、グルタミン酸を分解する物質を探し続けた。 我々は正常なグルタミン酸の分解を司る2つの酵素GDHとGADに注目した。GDHはグルタミン酸をAKGへ分解する。GADはグルタミン酸をGABAへと変換する。これらの酵素は利用できなかった。手に入れることすら不可能であった。我々はそれでも、グルタミン酸を減少させることにフォーカスして研究を続けた。グルタミン酸分解酵素の遺伝子(GDHの遺伝子GLU2、GADの遺伝子GAD1)について調べた。
マイアミ大学の研究チームはこれらの遺伝子異常がALS発症の原因になりうると考えていた。研究は継続されている。
我々は、”GDH遺伝子異常の結果、グルタミン酸が増加し、一方でAKG(ケトン体)の不足をきたし、クレブス回路(ミトコンドリア)におけるエネルギー産生異常が起き、結果として神経細胞はアポトーシスを起こす”との仮説を立てた。細胞のエネルギー代謝により関心をもつようになった。
GABAもALSで不足ぎみとなる。GABAも使ってみればよいのではないかと考えた。安く、簡単に手に入るからだ。GABAは血液脳関門を通らないと言われているが、我々の観察では、神経変性疾患では血液脳関門が壊れていて脳内へ運ばれるのだ。実際、娘の場合はGABAを飲むと水をこばさずに運べたのだ。したがって、GABAの内服は合理的である。
GABAとグルタミン酸の比率が筋トーヌスを決定付けると考えている。
ケトン体は脳細胞のエネルギー源となる。ココナツオイルなどの中鎖脂肪酸である。AKGもケトン体そのものである。 リルテック(グルタミン酸合成の阻害薬)は2ヶ月の寿命延長効果があるが、非常に高価で副作用が多い。娘の消化管はケトジェニックダイエットで調子が悪い時期もあった。 AKGは安く利用できる。
娘の筋肉痙攣、筋肉コウシュク、線維束レンシュクなどの症状はなくなった。ベットから楽に起き上がれるようになった。同様の効果が他のALS患者でも繰り返し認められた。
これがディアナプロトコールが作られた経過のエッセンスである。
我々は1型糖尿病をインスリン不足を補う形で治療できるのと同様に、ALSに栄養補給の形で治療できるのだ。
Tratement not a cure 治癒をもたらす治療法ではない。
Give the body what it cannnot provide for itself( insulin) 体の中で作り出せない物質を補給する(インスリン)
南フロリダ大学ではマウスを使った実験で、ALSの栄養療法について調べられている。研究によってディアナプロトコールを改善させている。
ディアナプロトコールの成功により約20人の患者がディアナプロトコールに関心を持った。数人は別の治療のために行わず、2名の重症者は死亡した。10名の患者は、病気の進行が停止したり、ゆっくりになった。筋肉の痙攣や線維束レンシュクなどが消失したのだ。 1名の患者は飲んだり食べたりが可能になった。
2013年にはCBNニュースで紹介され、世界中の1000人以上の患者がこのプロトコールに参加することになった。
1.Rapid progressionの患者は、治療の反応がすぐにわかりやすい。継続する筋肉の痙攣などがすぐにおさまるからである。 大量のAKGが必要となる。
2.Slow progressionの患者は、反応がわかりにくい。 すでに筋肉の痙攣などが減っているため。
3.Late stageの患者はより治療効果がわかりにくい。 もはや生き残っている筋肉細胞が少ない。だが治療により生活しやすくなる。
私は、筋肉の痙攣は、筋肉細胞のアポトーシスを反映していると考えている。
筋肉のココナツオイルなどの中鎖脂肪酸によるマッサージは有効である。この脂肪酸は大変小さいので経皮吸収され直接筋肉内のミトコンドリアへ取り込まれる。
ALSが診断されるまでに2年ほどかかることが多い。診断がつくより早く治療を始めたほうがよい。AKGには副作用はない。 リハビリテーションを早くはじめることも大事である。
ずいぶん以前、レジデントの頃に、ポリオの治療を行っていた。早く治療を始めることが、筋肉可動域の改善につながることを学んでいた。筋肉から神経を刺激することになる。ディアナはごく早期からリハビリ筋肉運動(心肺運動を含む)を開始していた。
どのような神経の異常も、予防的にディアナ・プロトコールを開始するべきである。AKGは無害である
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