妊婦の貧血には鉄と亜鉛が必要

羊水はラジカルスカベンジャーを含んでおり，亜鉛はその 1 つ

この論文は　3度目の引用

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妊産婦と胎児環境における 亜鉛の重要性と補充療法の有用性
浜松医科大学産婦人科　 内田 季之
https://kenkyuukai.m3.com/journal/FilePreview_Journal.asp…

亜鉛は胎児発育に必要とされており妊娠中は付加して摂取しなければならないが，日本人の 妊婦は妊娠前の摂取量と変化なく推奨量には足りていない.
母体血清亜鉛濃度は妊娠経過とともに低下する.胎児血と考えられる臍帯血亜鉛濃度は非常 に高値となる.
妊娠後期での羊水中亜鉛濃度は10μg/dl未満であるが，羊水混濁を認めると上昇する可能性 がある.
妊婦貧血症例に鉄剤に加えて亜鉛製剤(ポラプレジンク)を投与すると貧血は著明に改善す る.鉄剤のみの投与と比較して新生児予後に悪影響はなく，妊娠中の亜鉛投与は安全である と考えられる.

妊娠中は鉄欠乏性貧血と なるのだが，鉄の補充だけでは改善度が乏しいこ とがある.Nishiyama らが貧血妊婦に対し鉄と亜 鉛の補充は鉄のみの補充に比較し貧血を有意に改 善させることを報告した 12).本研究の無作為比 較試験でも亜鉛の補充は貧血の著明な改善を示 し，母体への副作用は勿論，新生児予後にも亜鉛 補充が少なくとも悪影響を与えることはなかっ た.血清鉄値，血清フェリチン値は鉄の投与によっ て有意に上昇するのだが，血清亜鉛値は亜鉛投与 によっても有意に上昇することはなかった.

羊水混濁症例は胎児機能不 全，胎便吸引症候群を引き起こす可能性がある. 胎便吸引症候群はフリーラジカル産生から呼吸障 害を呈する.筆者は亜鉛イオンが好中球からのフリーラジカル産生を抑制することを報告した .

羊水はラジカルスカベンジャーを含んでおり，亜鉛はその 1 つであると思われる.