近年の鉄欠乏症の知見 「閉経前女性の鉄欠乏」

日本臨床内科学会誌 2025年6月号より  大西真由美医師

①20歳から40歳までの女性の実に役30%ー50%が鉄欠乏状態という結果が出ている。

②最近うつ病と鉄欠病の関係、産後うつと「貧血」の基準に入らない鉄欠乏の関連性を示唆する研究も報告されています。(日本鉄バイオサイエンス学会 治療指針作成委員会)(第):鉄剤の適正使用による貧血治療指針 響文社 2015)

③日本人女性の平均Hbである13未満であったり、MCVが90以下であったりしたら、念のためにフェリチンを測定する。

④一般的に血液検査の「基準値」は95%の測定値が入る範囲を示しています。すなわち、そもそも毎月のように出血するため鉄欠乏に陥っていやすい女性の基準値はかなり下振れしていると考えるべきです。フェリチンは30以下を鉄欠乏とする文献もありますが、妊孕性向上のためには40以上がのぞましいとするほうこくもあること、血液学的には定期的な出血のない男性の基準値が40以上であることを考えると、40以上を目標値にするのが妥当と考えます。

⑤静脈注射の場合には、低リン血症、過敏症、肝臓機能障害などに注意を。

⑥鉄過剰症はフェリチン値で1000を超えることですが、閉経前の女性の場合、定期的にフェリチン値をフォローしていれば心配することはありません。

⑦フェリチン値は毎月の測定は保険適応がない。3-4か月に一回。

⑧鉄欠乏性貧血はもちろん、貧血なき鉄欠乏の患者さんは、ご自身で鉄欠乏を自覚していない方も多数いらっしゃいます。鉄補充により、

「ふりかえってみると、あの時の私は本当じゃなかった。」

「朝、すっきり目覚められるようになった。」

「明るくなったね。笑顔が増えたと、同僚に言われた。」

「嘘のように、しんどくなくなった」という、メンタル系のポジティブなフィードバックをいただくことが多いです。

「先生に見つけてもらって、本当に楽になりました。」というコメントもいただきます。

更年期のせいだろう、運動不足のせいだろう。働きすぎのせいだろうと思って、しんどさがあるのが当たり前と受容している女性たちの中に、鉄を補充するだけで、ハッピーになれる方々がたくさんいらっしゃいます。閉経をむかえるまでの10年近くは、女性のライフステージの中で、身体的変化だけではなく、家族や仕事のことなで多くの、そして大きな変化を経験しがち時期です。鉄補充療法を通じてその方本来の身体機能と幸福感を取り戻し・維持することで、その時期の女性に寄り添い、共に歩んで行っていただけると幸いです。

 

コメント:診療に鉄の処方を取り入れたのが、2012年。藤川徳美先生の書籍の影響も大きいと思う。すこしづつ、貧血のない鉄欠乏が認識されるようになっていることがわかる。

とはいえ、この記事を読んだ内科医どのくらいいるだろう。