痛みの記憶
月刊保団連2026年5月号より
牛田 亨宏先生
慢性疼痛の本態を理解する上で重要な概念として「痛みの記憶(pain memory)」を挙げたい。急性疼痛が消失した後も、一部の症例において疼痛が遷延化する背景には、侵害受容刺激に対する神経可逆的変化のみならず、脳内における疼痛体験の強固な記憶化が関与している。我々の研究では、アロディニア(軽微な触刺激を敵痛と認識する状態)を呈する患者に対し、実際に身体へ接触していないのにもかかわらず、患部への刺激を連想させるビデオ映像を見せるだけで、疼痛に関連する脳領域が賦活されることを明らかにした。
これは、過去の痛烈な疼痛体験が「記憶」として中枢に刻まれ、外界からの特定の視覚情報や文脈と結びつくことで、末梢からの侵害受容入力がない状態でも脳内ネットワークが疼痛体験を再現・生成しうることを示唆している。
これは存在すると思う。血糖採血でも、血管からの採血でも、だんだん痛みが強く感じられるようになる。