劇症型溶血性連鎖球菌感染症合併膿胸に対する局所麻酔下胸腔鏡治療の1例
広島医学2026年3月号より
劇症型溶血性連鎖球菌感染症は、近年本邦で流行している感染症の一種であり、重篤で進行が早い場合が多く、早急な治療介入が必要である。症例は24歳、男性。吸気時の左側胸部痛を主訴に当院を受診し、胸部単純CTで肺炎像と胸水貯留が認められ、入院してセフトリアキソンとアジスロマイシンによる治療が開始された。翌日に血圧低下、肝機能障害、血小板減少の出現が認められ、敗血症および多臓器不全への進展が疑われた。入院時の血液培養からA群溶血性連鎖球菌が検出され、劇症型溶連菌感染症と診断し、ペニシリンとクリンダマイシンによる治療を開始して状態は一時改善するも、被包化胸水の残存と発熱の再燃が認められたため、膿胸を疑った。局所麻酔下に胸腔鏡下隔壁破砕術を施行し、胸腔ドレーンを留置した後に繊維素溶解療法を行い、被包化胸水および血液炎症反応は速やかに改善した。
左胸水穿刺を施行したところ、LDHとADAが著明高値であり、糖とPHの低下を認め、肺炎に膿胸を合併していると考えられた。
A群溶血性連鎖球菌は、急性咽頭炎や膿痂疹などの比較的軽症の感染症から、敗血症や肺炎などの重症感染症まで、さまざまな病態を示す。GASによる肺炎は、市中肺炎の1%未満と頻度が低いが、その多くが重篤で進行が早く、致死率が30%以上とされる劇症型溶血性連鎖球菌感染症を併発する。特に肺炎型は、壊死性筋膜炎型より致死率が高いと報告されている。